2013 Fiscal Year Research-status Report
住工混在型コレクティブタウンに向けての町工場地域の評価に関する研究
Project/Area Number |
25420644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳尾野 徹 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80237065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 俊祐 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50182712)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 住工混在 / 住工共存 / 町工場 / 大阪 / 地縁 / 血縁 / 職縁 / コンパクトシティ |
Research Abstract |
人口減少、都心の空洞化といった社会問題が顕著となった現在、都市機能の集約・複合化による都市づくりが求められている。本研究では、これまで否定的に捉えられてきた住工混在地域に着目する。住工混在地域には、生産の場と生活の場が混在することで、多様な住まい方や地縁・血縁・職縁を中心として多元化した町工場ネットワークが織りなすバイタルな集住環境が存在し、半世紀以上に渡り持続してきたものもある。そこでは騒音等の工場被害をいかに許容して住工共存を成立し得ているのかを考える必要がある。平成25年度は、大阪市内及び周辺部に位置する住工混在地域のうち、立地や混在程度が異なる3地区を取り上げ、住民や工場主の住工混在に対する意識を整理し、住工共存の有り様を比較分析することを研究目的とした。 アンケート調査の結果、町工場の存在を肯定的に感じ、近隣関係も密につくり、工場被害に対して気にならないと感じている九条南地区、町工場をやや否定的に感じ、近隣関係がやや疎であり、直接的な工場被害が気になると感じている加美北地区、町工場をやや肯定的に感じているが、近隣関係はやや疎であり、間接的な工場被害が気になると感じている高井田地区、と地区毎の差異が明らかになった。これらが地域に対する愛着、定住意識に関係すると考えられる。 住工共存の評価と地区の物理的空間の関係をみる。街区規模が小さく、密度が高い九条南地区では、住工の距離が近くなるため、親密な関係を築き上げている。一方、街区規模が大きく、密度が低い高井田地区では、急激な変化を生む恐れがあり、工場主は近隣に対して気遣いをしているが、住工に距離があり、親密な関係を築けあげきれていない。街区規模が中規模、密度が低い加美北地区では、高井田地区と同傾向を示すが、操業環境の変化や地域への満足度に違いが見られる。混在パターンの差異が共存の違いを生み出す要因の一つであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アンケート票の回収が若干遅れている地区があるが、平成26年度の個別訪問調査の準備・実施と並行して遅れを取り戻す予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
建築および建築まわりの空間や場と3つの縁の関係を探るために、これまでの大阪の調査対象地区に東京都大田区の集合型町工場事例を新たに加えて調査対象とし、個別訪問による工場と住まいの間取りの実測調査および建物内や近傍空間の使い方に関する現地観察記録調査、住まい方や住意識の現状とこれまでの変遷に関するヒアリング調査を実施する。職住一致・近接の空間特性、あるいは騒音などに対する近隣の相互配慮、前面道路でのあふれだしの許容と自律的な規範など、住工が共存する空間での多様な住まいの形態や住みこなし方を明らかにすることで、建築および建築まわりの空間や場と3つの縁(地縁・血縁・職縁)との相互関係を解析する。大阪では一般的である戸建て型の職住一致の町工場に加え、関西では見られない住工共存・集約化を目的に行政によって整備された工場アパート(東京都大田区)を調査対象として、計画的立体的住工混在、住工近接の有意性と可能性を検討する。
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Research Products
(3 results)