2014 Fiscal Year Research-status Report
津波避難と仮設居住期の子ども安全まちづくりワークショップ手法の開発
Project/Area Number |
25420656
|
Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山本 俊哉 明治大学, 理工学部, 教授 (50409497)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 逃げ地図 / 避難計画 / 地区防災計画 / 津波 / 仮設住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災の津波と仮設居住期の経験と課題を踏まえ、津波からの避難に関わる子ども安全まちづくりワークショップ(以下、WS)を地域ぐるみで協働して実施するための手法を開発することを目的とする。平成26年度は、鎌倉市・陸前高田市・下田市では平成25年度までに各中学校で開催された逃げ地図作成WSが起点となって地域住民による逃げ地図作成と活用の各種取り組みが進展したプロセスについて明らかにして日本建築学会大会において発表するとともに、本研究で開発した手法を各市で開催された逃げ地図作成WSに提供して支援した。 陸前高田市では、広田町において現在進行中の震災復興事業が完了した後を想定した逃げ地図作成WSを3回連続して開催した。地域社会の幅広い構成員の参加を得て逃げ地図が作成され、逃げ地図が復興事業の津波避難に関する課題(例えば、高台移転地の避難道路や防潮堤の階段の位置など)を抽出する上で有効な手法であることを明らかにした。 仮設居住期の課題については、陸前高田市等での研究成果を日本建築学会大会において発表するとともに、仮設住宅団地の自治会長ヒアリングと仮設店舗アンケートを実施し、仮設居住の長期化に伴う課題と仮設店舗群の形成過程を詳細に明らかにした。 下田市については、津波避難ビル等緊急避難場所の現地調査を行うとともに、吉佐美地区において地元住民団体が指定した緊急避難場所を点検する逃げ地図作成WSを開催し、逃げ地図が津波避難計画のPDCAサイクルを回す上で有効な手法であることを検証した。また、下田市に隣接する河津町の南小学校にて逃げ地図作成WSを開催し、小学5~6年生でも逃げ地図作成が可能であることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
陸前高田市と下田市での逃げ地図作成WSが平成25年度に実施できたことから、両市において地区防災計画の策定をめざした津波からの逃げ地図作成WSを開催し、他地区でも応用可能なワークショップ・プログラムを開発することにした。 陸前高田市では、地区防災計画の策定をめざした逃げ地図作成WSおよびその成果報告会を広田町で開催した。その結果、津波避難に関わる復興事業の課題が明らかになったが、その復興事業によって避難目標地点や避難経路が変更になるため、地区防災計画の策定に向けた取り組みはそれを踏まえて行うことになった。一方、研究当初の想定以上に仮設居住の長期化が深刻な課題になっていることから、子どもの安全の問題を幅広くとらえて、仮設市街地の形成過程や被災低地の土地利用に関わる調査を進めた。 下田市でも、吉佐美地区において地区防災計画の策定をめざした逃げ地図作成WSを開催したが、下田市が進める地区別都市計画マスタープランにおいて逃げ地図WSの成果が反映され、一方逃げ地図WSと類似した手法のWSにより下田市が地区別の津波避難計画の策定を進めていることから、それと歩調を合わせるとともに、避難時間と経路を表示してPDCAサイクルを回せる逃げ地図の特性を生かした作成活用プログラムの開発に力を入れることにした。 こうした状況下、科学技術振興機構RISTEXの研究開発領域「コミュニティがつなぐ安全・安心な都市・地域の創造」において連携研究者の木下勇が研究代表で、研究代表者の山本俊哉がグループリーダーを務める研究開発プロジェクト「多様な災害からの逃げ地図作成を通した世代間・地域間の連携促進」が採択され、平成26年10月から3年間、津波だけでなく土砂災害などからの逃げ地図作成活用マニュアルを研究開発することになったことから、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた本研究プロジェクトの成果は、平成26年度に採択された科学技術振興機構RISTEXの研究開発プロジェクト「多様な災害からの逃げ地図作成を通した世代間・地域間の連携促進」に活かし、津波からだけでなく多様な災害からの逃げ地図プログラムや、子どもだけでなく世代間の連携を促進するプログラムに発展させていく。そのために、これまでの研究成果をまとめて他地区でも応用可能なワークショップ・プログラム案を作成して、気仙沼市などで実践するとともに、仮設居住期の子どもの安全に関わる課題を大きく捉え、学校の校庭に建つ仮設住宅団地の解体・集約に関する調査ならびに子ども安全まちづくりを推進するワークショップ手法に関する調査を補足的に行い、最終年度の成果をまとめる。
|
Causes of Carryover |
できるだけ安い切符を購入したため端数が生じた。 次年度が最終年度になるため、次年度に活用することにした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
旅費の一部として活用する。
|
Research Products
(21 results)