2013 Fiscal Year Research-status Report
医療福祉施設における震災時の初動体制に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25420658
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
建部 謙治 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10131137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和夫 千葉工業大学, 工学部, 教授 (50416822)
鈴木 森晶 愛知工業大学, 工学部, 教授 (90273276)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 防災計画 / 医療福祉施設 / 初動体制 / 緊急地震速報 / 地震動 |
Research Abstract |
研究は医療施設の「防災体制」、「緊急地震速報の利活用」、「地震動による人への影響」という3 つのテーマで構成されていて、それぞれの「課題の検討」、「その分析」、「応用研究」を行うものとした。 1.東日本大震災における被害情報については、病院での対応と諸課題を、文献、ヒアリング、アンケートなどにより調査したが、アンケート調査は、東北地方の岩手・宮城・福島の3県、計202施設を調査した結果、回収率は26.7%で、300床未満の病院が7割強を占め、災害拠点病院に指定されている施設は23%、最大震度は5割弱~6強で、90%の施設で何らかの被害がみられた。また、東北地方以外にも、全国の約3,500の病院を対象にして災害対策実態を調査し、施設の概要とともに、どのような災害を対象とした防災計画、防災訓練、初動体制をとっているかを郵送法によるアンケート調査を実施した。 2.病院での緊急地震速報の利用状況や利用上の課題については、病院の初動体制調査と同様に、アンケートにより全国の約3,500の病院を対象に調査を実施した。 3.地震動体験実験は本学の耐震実験センターにて、阪神大震災の観測波による高層住宅の10階を想定した地震波を入力し、若年者20名、高齢者20名を対象に、生理的変化として血圧、脈拍、唾液アミラーゼなどの生理変化を測定、また心理的には、POMS、エゴグラムの心理テストを、意識調査としては揺れに対する官能検査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病院に対するアンケート調査は、全国調査を実施し、被害調査及び緊急地震速報調査ともほぼ終了した。今後はアンケートを理解するために追加のヒアリング調査を行う。福祉施設に対する初動体制や緊急地震速報に関する調査は今年度以降に行う予定である。 また、地震動体験実験については若年者・高齢者ともほぼ半分程度が終了しているが、今後は特に高齢者の女性被験者を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1 年目にできなかった追加実験・調査を実施する。 1.フィールド調査では、「現況の安全対策」と「安全対策のあるべき論」の2 点を設問構成し、施設の運営者とともに職員に対しても、災害に対する意識や知識、行動の判断基準等を調査、職員や入院患者に対する防災教育や防災訓練の方法を検討する。 2.地震動体験実験に関しては、医療や福祉に携わる側の人間の追加実験を行って、高齢者と比較するが、こうした緊急時と平常時との意識状態および行動を比較解析することによって、震災時での病院・福祉施設における安全対策のあり方を検討する。また、性格による揺れに対する反応や行動パターンの違いを明らかにして、初動体制立案の知見を得る。 3.緊急地震速報を実際に利用している施設での利用状況を見せていただき、利用上の課題についてヒアリング調査、緊急地震速報の情報に応じた具体的対応行動について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた旅費が、先方の事情で調査旅費として使用できなかった。 研究経費は、主に「アンケート調査」、「現地調査」、「実験」にかかる費用で、アンケート調査は、福祉施設を中心に必要に応じて実施、費用は主に印刷・封入・宛名書き・発送を業者に委託するもので、約30 万円を予定している。また現地調査に関する費用は旅費の約30 万円で、研究支援者用旅費に16 万円(6万円は未使用分)を計上した。 揺れ実験に関しては、振動台上に実験居室を組み立て、心理・生理・官能検査等を実施するため、アンケート用紙作成・分析に約5 万円を計上している。また、被験者への謝金(交通費も含む)を合わせて約15 万円、実験補助員用に30 万円を予定し、残りの約10万円は、研究の打ち合わせ旅費、会議費、消耗品等に充てる。
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