2014 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体含浸法によるパラジウム-高分子電解質複合膜の製作とその評価
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25420805
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩井 芳夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80176528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米澤 節子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准助教 (50294898)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 直接メタノール燃料電池 / ナフィオン複合膜 / パラジウム錯体 / 超臨界含浸法 / 電池特性 / 拡散係数 / 溶解度 |
Outline of Annual Research Achievements |
超臨界含浸法を用いたパラジウム/ナフィオン複合膜の作製における基礎的知見を得るため、パラジウム錯体としてパラジウムアセチルアセトナト(Pd(acac)2)を取り上げ、紫外可視分光法により超臨界二酸化炭素に対するパラジウムアセチルアセトナトの溶解度、および超臨界二酸化炭素雰囲気下におけるナフィオン膜中のパラジウムアセチルアセトナトの拡散係数を測定した。測定は40および50℃、10-20MPaで行った。 吸光度から濃度を算出するために、検量線を作成した。ベンゼンおよびエタノールを使用し、それぞれの溶媒において、いくつか異なるパラジウム錯体の濃度の溶液を用意した。溶液を可視窓付高圧セルに入れて、溶液の吸光度を可視窓と接続されたファイバーを介して分光光度計を用い測定した。吸光度はパラジウム錯体の濃度に比例し、溶媒の種類によらず一本の直線で表された。 溶解度の測定のため、攪拌子と溶け残りが出るほどの量のパラジウム錯体を可視窓付高圧セルに入れた。空気恒温槽によってセルが目的の温度に達した後、超臨界二酸化炭素を導入し、超臨界二酸化炭素に溶解したパラジウム錯体の濃度を分光光度計を用いて測定した。溶解度は、圧力が高くなるほど高くなったが、温度依存性については15 MPa付近にクロスオーバーが見られた。 拡散係数の測定のため、ナフィオン膜、パラジウム錯体、および攪拌子を可視窓付高圧セルに入れた。空気恒温槽によってセルが目的の温度に達した後、超臨界二酸化炭素を導入し、ナフィオン膜中にパラジウム錯体を含侵させた。含侵中、分光光度計を使い吸光度の経時変化を測定した。得られたデータより、Fickの第二法則を用いてパラジウム錯体の拡散係数を算出した。拡散係数は温度が高いほど大きく、圧力が高いほど小さくなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度は3種類のパラジウム錯体を用いてパラジウム/ナフィオン複合膜を作製し、その複合膜の評価も行った。今年度は基礎的知見として不可欠となる超臨界二酸化炭素に対するパラジウム錯体の溶解度、および超臨界二酸化炭素雰囲気下におけるナフィオン膜中のパラジウム錯体の拡散係数を測定する手法を確立するとともに、有用なデータを得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
パラジウム錯体としてパラジウムヘキサフルオロアセチルアセトナト(Pd(hfa)2)、およびパラジウムテトラメチルヘプタンジオナト(Pd(thd)2)を用いて、超臨界二酸化炭素に対するパラジウム錯体の溶解度、および超臨界二酸化炭素雰囲気下におけるナフィオン膜中のパラジウム錯体の拡散係数を測定する予定である。また、小さなパラジウム粒子をナフィオン膜に良好に分散させると複合膜の性能が向上するので、そのような膜ができるように超臨界浸透法の最適な操作条件を探索する計画である。
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