2014 Fiscal Year Research-status Report
組み合わせ荷重を受ける鋼製サンドイッチパネルの崩壊挙動に関する研究
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25420868
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
柳原 大輔 愛媛大学, 理工学研究科, 寄附講座准教授 (10294539)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サンドイッチパネル / 最終強度 / 座屈 / 面外分布荷重 / コルゲートコア / ウェブコア |
Outline of Annual Research Achievements |
大型商船の主要構造部材として,従来の防撓パネルに代えて鋼製サンドイッチパネルの適用を可能にしていくためには,面外荷重と2軸方向の面内圧縮荷重に対する強度とその崩壊挙動を把握することが重要になってくる。そこで,昨年度に引き続き本年度も,鋼製サンドイッチパネルが2軸方向の面内圧縮荷重と面外分布荷重を同時に受ける場合や,それぞれを単独に受ける場合を対象として,有限要素法解析(FEA)による弾塑性大たわみ解析を実施した。昨年度の研究では限られた寸法のパネルのみを対象としていたが,本年度の研究ではレーザー溶接が可能な板厚を持つ鋼板の組み合わせを考え,様々な寸法のパネルを対象とした解析を実施した。さらに,大骨材の間隔についても長さ方向と幅方向に2つのケースを考えて解析を行った。 鋼製サンドイッチパネルの崩壊強度には,コアパネルの局部変形が大きく影響することが分かっているが,幾何学的な形状を考えればコルゲート材(波板材)をコアに持つ場合にコア材の局部変形が生じにくく崩壊強度も高くなる傾向にあるが,ウェブコア材(平板材)を持つ場合でも,大きな重量増加なしに厚板をコア材に適用できるためコア材の局部変形を抑え,結果的に高い崩壊強度を得ることができる。コア材の局所変形防止のための新たな部材をコア内に接合することも強度上昇のために有効であることを解析を実施して確認したが,建造現場では新たな部材の接合は,事前に局所変形の場所を特定する必要があるなど,簡単な方法ではないと考えられる。 実際のサンドイッチパネルの模型を製作して崩壊試験を実施することを目標に,入手可能な鋼材寸法や試験機の性能,さらにはレーザー溶接の可能な寸法範囲などを考慮して試験体の設計を行った。この試験体を用いて実際の崩壊現象を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施した解析により,コルゲート材やウェブ材をコアに持つ鋼製サンドイッチパネルの崩壊挙動や崩壊強度に関して,基本的な特徴や寸法の影響を明らかにすることができた。この成果によって,効果的なサンドイッチパネルの構成がある程度明らかになっており,従来の防撓パネル構造に比べて強度的に有利なサンドイッチパネルを提案できる段階にある。さらに寸法の影響を知ることは実設計を行う上で重要な簡易強度算式の導出のために重要であり,今後の算式導出の足掛かりにすることができた。 Xコアパネルを使ったサンドイッチパネルについては本年度も解析を実施できていない。しかしながら,コルゲートコアやウェブコアサンドイッチパネルの解析結果や,船体構造ではそれほど板厚を薄くできないことを考えれば,コア材としてそれほど有利にはならない可能性があり,この解析については重要視をしないことにする。 サンドイッチパネルの崩壊試験の実施が遅れているが,試験体の設計は既に完了しており,また製作に関して関係者との調整がされている状況であるため,問題はないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
船体構造のサンドイッチパネルを適用するには,FEAのようなモデル作成や解析に多くの時間を要する方法ではなく,比較的簡単な算式により強度を算出できることが必要になってくる。そこで,これまで得られた解析結果に基づき強度簡易算式の導出を試みる。コア材の局部変形が問題とならない場合には,単純な梁モデルを使って算式を導出できると考えているが,コア材の局部変形が全体の崩壊に直結する場合の取り扱いが最も重要になると考えている。 さらに,パネル間や他の部材とサンドイッチパネルを接続する方法の検討を行う。接合部付近でサンドイッチパネルを絞って1枚の板にして接合する方法が最も現実的であるが,この場合せん断力の伝達ができない。そこで接合部付近に梁を渡す方法を考えているが,この方法の妥当性を検証する。 レーザー溶接部の破壊の有無も含め,実際のパネルがどのように崩壊するのかを把握することは重要であり,模型を使った崩壊試験を実施する。 最後に,これまでに得た知見や以上の解析と実験の結果に基づき,構造強度的な観点から従来の防撓パネル構造に代えて鋼製サンドイッチパネルを適用できるかを検討する。さらに,サンドイッチパネル適用による構造重量の低減量についての検討も行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は6千円弱であり,誤差程度と考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
極めて少額であるので,使用計画の変更は必要ないと考えている。
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Research Products
(1 results)