2014 Fiscal Year Research-status Report
高速点火レーザー核融合炉用液体金属ミラーの損傷閾値とダンピングの評価
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25420887
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
乗松 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (50135753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實野 孝久 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (30162811)
功刀 資彰 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40301832)
島田 義則 公益財団法人レーザー技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (80250091)
本越 伸二 公益財団法人レーザー技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20270580)
古河 裕之 公益財団法人レーザー技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (70222271)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慣性核融合 / レーザー / 最終光学系 / 炉工学 / 液体金属 / ミラー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は水銀の表面にレーザー光を照射し、約2cm離れた場所で干渉法により液面の垂直方向の振動を測定した。又、疑似遠視野法を用いて液面で向きを変えたレーザー光の向きに対する振動の減衰時間を測定した。それにより、照射前のノイズレベルに戻るまでの時間と照射レーザーの強さとの関係を測定することに成功した。しかし、液面振動の振幅の定量性という点では十分ではなかった。原因は干渉法で得られた強度変化には干渉で得られた情報と、レーザー光の向きが変わり、計測器から外れてしまった両方の可能性があるためである。また、表面に発生する波は表面張力波と重力波があり、前者の空間的波長は数ミクロンで、プローブ光の直径よりも小さくなり、観測領域に複数の波が存在することになる。 平成26年度は科研以外の財源で確保したレーザードプラーシフト計でレレーザー照射領域の動きを直接観測した。この方法は反射光の強弱の影響を受けないので、直接液面の速度を計測することができる。得られた周波数と速度で、振幅を計算することは可能である。現在、そのデータ整理が続けられている。 また、損傷閾値の測定では酸化膜がない状態で液体鉛の損傷閾値の測定を行った。損傷閾値は160mJ/cm2程度であることがわたった。ドプラーシフト計では反射面が動くことにより、反射光の周波数が変わることを利用して、反射面の速度を計測する方法で、レーザー光の強弱の影響を受けないのが特徴である。 数値シミュレーションでは液面を押す力が真空でも大気中の実験でも有意な差がないことを確認すると共に、端面からの反射、浅い場合の波の伝搬などの再現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究での当初計画では液体金属面の反射率の測定、損傷閾値の測定、液面振動の測定、それらのデータに基づく最終光学系の使用可能範囲の導出である(最終年度)。得られている160mJ/cm2という損傷閾値は十分納得の行く値であるが、最終的には還元雰囲気下(水素雰囲気)で実験を行いたいと考えている。現在までの達成度は60%程度である。振動測定に関しては80%程度の達成度であるが、現在実験を行っている建物の床が強度不足でいろいろな振動を拾っている。現在、λ/20(λは光の波長で約1µm)程度の測定ができているが、さらに、高度な議論を行う場合は、建物を変える必要があり、これは科研の範囲を超すので約束できない。数値シミュレーションは70%程度の達成度である。 使用範囲の議論は当初から平成27年度の計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
ミラーとして求められる性能はλ/10である。上に書いたように現在λ/20の観測はできていると思われるが、ミラーで反射されたレーザー光の品質という点で見ると、より精度の高い観測が望まれる。強固な床をもつ実験サイトが確保できれば移動して再現実験を試みたい。液体金属ミラーを実際の炉システムに使うことができるかどうかは単ショットだけの議論でなく、4Hzで繰り返したときの反射面の形状を議論する必要がある。これを議論するためにはプールの端からの反射波、その距離に対する減衰の議論が必要である。予算の関係で実験規模を大きくすることはできないので、数値シミュレーションの結果が重要である。平成27年度内に数値シミュレーションを完結し、最終的評価に結びつける。
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Causes of Carryover |
年度末に30万円ほど先に交付を受けたが、ほぼ、当初計画通りである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度には液体金属ミラーが実用炉クラスで使い物になるかどうか、平成26年度に一部データを取得したが、床の振動が乗っているので、ポインティングのデータを実験により再確認する。さらにそれらの取得したデーターをもとに、実用炉クラスでの設計範囲を明らかにし、当初の科研の目標を完結する。 補足実験に用いる消耗品と、国際学会発表(IFSA, Inertial Fusion Science and Application、9月 米国) の旅費にも使用する。
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Research Products
(3 results)