2013 Fiscal Year Research-status Report
海馬顆粒細胞前駆細胞の胎生型から生後型ニューロン新生への転換機構の解析
Project/Area Number |
25430041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石 龍徳 東京医科大学, 医学部, 教授 (20175417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 太一 東京医科大学, 医学部, 助教 (10398232)
篠原 広志 東京医科大学, 医学部, 助教 (10455793)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 海馬 / 成体脳ニューロン新生 / 神経幹細胞 / 胎生期 / 顆粒細胞 / GFAP / BLBP |
Research Abstract |
大脳新皮質など脳の大部分のニューロンは、胎生期に産生され、生後になるとその産生が止まる。しかし、海馬の顆粒細胞は、生後になっても産生が止まらず、成体になるまで産生され続けている。現在、成体海馬のニューロン新生は、再生医療、記憶・学習機構、精神疾患など様々な分野で注目され、精力的に研究されている。本研究では、このニューロン新生の連続性に着目し、胎生期から成体期の海馬で起こるニューロン新生を包括的に理解することを目的とする。今回、胎生後期から生後の各増殖部位における神経幹細胞/前駆細胞の性質を調べたところ、生後0日から1日目の間に、Brain lipd-binding protein (BLBP)+/Glia fibrillary acidic protein (GFAP)-からGFAP+/BLBP+に変化することを見出した。この結果は、顆粒細胞を産生する神経幹細胞/前駆細胞の性質が出生直後に胎生型から成体型に急速に変化することを示している。また、胎生期の大脳新皮質と歯状回に発現する遺伝子を、DNAマイクロアレイにより網羅的に解析した。現在までに、海馬特異的に発現する分子をいくつか同定している。その中で2-3個の遺伝子に注目し、その遺伝子の強制発現ベクターを作製し、それを大脳皮質側に遺伝子導入した。その結果、未熟な神経前駆細胞の維持に働くと思われる分子を見出した。現在、その分子の抗体を用いて胎生期におけるその分子の発現分布を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海馬歯状回の顆粒細胞の神経前駆細胞に関して、胎生期と成体期で性質が異なることを発見したのは一歩前進である。胎生期の海馬と大脳新皮質に発現する分子をマイクロアレイで比較した実験から、海馬の発生に関与すると思われる分子の候補を同定したが、これについては、その分子の機能を十分には解析していない。これは今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
生前と生後の神経前駆細胞ではBLBPの発現に違いがあることが明らかになったので、今後は、BLBP-CreERマウスとレポーターマウスを用いて、生前と生後のBLBP発現細胞がそれぞれ将来どのような細胞になるのかを解析する。また、マイクロアレイで同定した候補分子の胎生期における発現分布を詳細に検討するとともに、機能をsiRNAなどを用いて解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共焦点レーザー顕微鏡のコンピュータの修理のために使用する予定であったが、修理が遅れたため(ドイツに送られた)、年度内に請求が来なかった。修理金額についてははっきりしなかったが、おおよそ20-50万円ぐらいだとの話だった。 現在修理が終わり、5~6月に修理代が請求されるので、その支払いに使用する。
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Research Products
(10 results)