2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25430047
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 純子 群馬大学, 医学部附属病院, 准教授 (60208832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮永 朋実 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (30455951) [Withdrawn]
信澤 純人 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80635318)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経上皮性腫瘍 / ラブドイド細胞 / 混合型ラブドイド腫瘍 / INI1 / 非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍 / array CGH |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系に発生するラブドイド細胞が出現する神経上皮性腫瘍の分類と疾患概念の確立について検討すべき課題は以下の3つにまとめられる。1.通常の組織型の腫瘍要素にINI1陰性のラブドイド腫瘍要素を伴う混合型ラブドイド腫瘍における2つ要素の関係、2.epithelioid/rhabdoid cellsを伴う星細胞系腫瘍の臨床病理学的および分子遺伝学的特徴の解明、3.INI1,BRG1以外の第3の遺伝子の不活性化で生じる非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍の存在の確認と位置づけである。今年度はこのうち主として1の課題について検討した。通常の組織型の腫瘍要素にINI1陰性のラブドイド腫瘍要素が出現する腫瘍は極めて稀であるが、コンサルテーション症例から、3症例収集することができた。これらの症例の腫瘍型はそれぞれependymoma, grade II、low grade astrocytoma、およびhigh grade astrocytomaである。このうち若年性成人に発生したependymomaにINI1陰性のラブドイド腫瘍が発生した症例についてarray CGH法にてependymoma要素とラブドイド腫瘍要素を解析したところ、INI1遺伝子をコードする領域を含む22qのLOHなど、25個のコピー数異常が共通して認められた。両者の起源は一元的であり、ependymomaからラブドイド腫瘍が発生可能性が高いと考えられた。また、INI1遺伝子のコーディング領域、およびスプライス部位をDNAシークエンスにて検索したが、INI1遺伝子の不活性化の原因となるような残存アレルの点突然変異は確認できなかった。他の腫瘍から発生したラブドイド腫瘍はde novoの非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(AT/RT)と異なる性質を有する可能性が考えられた。他の2例もarray CGHによる解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記述したように大きく3つの課題があり、このうち、1の課題に該当するependymomaの要素とINI1陰性ラブドイド腫瘍の要素を併せ持つ混合型ラブドイド腫瘍について、array CGHによる検索およびINI1遺伝子異常の解析によって、両者の関係についての新たな知見が得られ、論文作成中であり、学会で結果を発表することになっている。また、他にlow grade astrocytoma+ラブドイド腫瘍、およびhigh grade astrocytoma+ラブドイド腫瘍それぞれ1例ずつの解析が進行中で、array CGHのデータが得られており、これから詳細に検討する予定である。2については昨年度1例解析したが、その後数例集まっており、分子遺伝学的な特徴を解析しつつある。課題3についても、対象症例3例選び、免疫組織化学的な検討を進める予定である。以上の進行状況から(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの課題について分けて記述する。 1.INI1陰性ラブドイド腫瘍の要素を持った混合型ラブドイド腫瘍3例の解析を進め、従来の腫瘍型が親腫瘍となり、この腫瘍要素からラブドイド腫瘍が発生した可能性が高いと考えられるようなデータが出ているため、さらに他の2例の混合型ラブドイド腫瘍について検索を進め、詳細に検討して、確実なものとする。また、INI1陰性化の分子遺伝学的な機序を解明すべく、遺伝子異常についてさらに検索する。また、これらの腫瘍とde novoの非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(AT/RT)との臨床病理学的な異同を検討したい。 2.複数症例ののepithelioid glioblastoma例の臨床病理学的、分子遺伝学的解析結果を検討して、分子遺伝学的な新たな特徴を見出し疾患概念の確立に努める。 3.INI1,BRG1が保たれたAT/RT症例が3例ほど集まっているので、まず、SWI/SNF chromatin remodeling complexに属する他の遺伝子がコードする蛋白の免疫組織化学的な検索を進めていく。 これらの結果を総合して、従来の分類や腫瘍概念を再検討し、神経上皮性ラブドイド腫瘍の新たな分類を提案したい。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] 小児脳腫瘍の病理2014
Author(s)
平戸 純子
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Journal Title
The Japanese Journal of Pediatric Hematology/Oncology
Volume: 51
Pages: 344-351
Peer Reviewed
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