2015 Fiscal Year Annual Research Report
HSP27による新規脳保護療法の臨床実用化に向けた研究
Project/Area Number |
25430053
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田中 亮太 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40407284)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 秀樹 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50286746)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | HSP27 / 脳梗塞 / 脳保護療法 / BBB |
Outline of Annual Research Achievements |
リン酸化合成HSP27(prHSP27)の脳保護効果とtPA併用時の出血性合併症の抑制と血液脳関門(BBB)の保護効果について解析を行った。高血糖状態のマウスに脳梗塞を施し、tPAを静注した群(tPA群)、tPAにprHSP27を併用した群(tPA+prHSP27群)で比較した。コントロールとしてBSA投与群(コントロール群)、またprHSP27単独治療群(prHSP27群)との比較も行った。tPA群はprHSP27群に比し有意に神経学的に機能障害が強かった(p<0.001)。一方でtPA+prHSP27群はtPA群に比し有意に機能予後が軽減できていた(p<0.05)。脳梗塞24時間後の出血性変化はtPA群で強かったが、tPA+prHSP27群では出血変化が抑制されていた。BBB障害の程度を評価するために、梗塞後の血清IgGの漏出を免疫組織学的に評価したところ、tPA群に比較してtPA+prHSP27群では梗塞巣のIgG漏出が有意に抑制されていた(p<0.001)。さらにBBB障害を促進する細胞外マトリックスmatrix metalloproteinase-9 (MMP-9)の発現をgelatin zymographyを用いて測定したところ、tPA群はコントロール群に比し発現が増強していたが、tPA+prHSP27群ではMMP-9の発現が有意に抑制されていた(p<0.05)。BBBのtight junction proteinであるoccludin蛋白をウェスタンブット法で評価したところ、tPA群に対しtPA+prHSP27群で有意にoccludinの発現が保たれていた(p<0.05)。電子顕微鏡を用いた評価においてもtPA治療群ではBBBの構造が菲薄化しているのに対し、prHSP27併用群ではアストロサイトの構造含め、BBB構造が保たれていることを確認した。これらの結果からprHSP27は脳梗塞急性期のtPAによる再灌流療法時の出血性変化の抑制、BBBの保護効果をきたし、脳梗塞の予後を改善できることを確認した。これまでの3年間の実験結果からHSP27の脳梗塞急性期における静脈投与は脳梗塞の予後を改善し、血栓溶解療法のtherapeutic time windowを拡大できる可能性があることが確認できた。
|
Research Products
(2 results)