2014 Fiscal Year Research-status Report
株化ニューロン―シュワン細胞共培養系を用いた、末梢神経病変へのアプローチ
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25430056
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
三五 一憲 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 副参事研究員 (50291943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 和彦 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, プロジェクトリーダー (30240477)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳神経疾患 / 糖尿病 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室にて樹立したラット不死化シュワン細胞株IFRS1およびDRGニューロン-IFRS1、PC12-IFRS1の各共培養系を用いて、軸索再生・髄鞘形成促進因子の作用機構解明や、糖尿病性神経障害をはじめとするニューロパチーの病態解明を進めてきた。 1) 高グルコース負荷IFRS1細胞における糖化関連因子receptor for AGE (RAGE)およびgalectin-3 (GAL-3)の発現誘導を明らかにした。RAGEが糖尿病性神経障害の発症増悪因子として細胞傷害的に作用するのに対し、GAL-3は酸化ストレスマーカー4-hydroxynonenalの発現を抑制する等、細胞保護的に作用する可能性が示唆された。(Tsukamoto et al., Neurosci Res, 2015)。 2) 新規糖尿病治療薬であるglucagon-like peptide (GLP)-1受容体作動薬exendin-4 (Ex-4)の末梢神経系細胞に対する直接効果を検討した。Ex-4はDRGニューロンの突起伸長や生存を促進するとともに、DRGニューロン-IFRS1共培養系における髄鞘形成を誘導した。またその作用機構にPI3 kinaseの活性化や軸索再生阻害因子RhoAの活性阻害が関与する可能性が示唆された。(Tsukamoto et al., Histochem Cell Biol, in revision) 3) 抗不整脈薬amiodarone (AMD)による末梢神経障害の病態を解明するため、IFRS1細胞やDRGニューロン-IFRS1、PC12-IFRS1の各共培養系にAMDを負荷し、その毒性を解析した。AMDはIFRS1細胞に酸化ストレスマーカーNrf2やオートファジー関連因子p62の発現を誘導するとともに、共培養系からのIFRS1細胞の選択的脱落を惹起した。以上より、AMDはシュワン細胞における酸化ストレス亢進やオートファジー不全を介して脱髄を誘導する可能性が示唆された。(Niimi et al., in submisssion) 4) ヒトtransthyretin遺伝子変異を導入した不死化シュワン細胞株TgS1を樹立し、その培養上清がDRGニューロンの突起伸長を阻害することを明らかにした。(Murakami et al., J Neurochem, in press.)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1) IFRS1細胞を用いた「糖尿病性神経障害におけるgalectin-3の関与」に関する研究成果を、原著論文として発表することができた。 2) DRGニューロン、IFRS1細胞、および両者の共培養系を用いた「Ex-4の軸索再生・髄鞘形成促進作用の機構解明」の研究成果を原著論文として投稿し、現在査読コメントに沿って改訂版を投稿準備中である。 3) IFRS1細胞およびDRGニューロン-IFRS1、PC12-IFRS1各共培養系を用いた「AMDによる脱髄誘導の機構解明」の研究成果を原著論文としてまとめ、現在投稿中である。 4)川崎医大・村上准教授との共同研究により、IMS32細胞やtransthyretin変異導入シュワン細胞株を用いた「アミロイドポリニューロパチーの発症機構におけるシュワン細胞の関与」に関する研究成果を、原著論文として発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
東京慈恵会医科大学、弘前大学、愛知学院大学、川崎医科大学等との共同研究を推進する。in vivo, in vitro両面からのアプローチにより、糖尿病性神経障害をはじめととするニューロパチーの病態解明・治療法開発を進める。アルドース還元酵素遺伝子欠損マウスやRAGE遺伝子欠損マウスより不死化シュワン細胞株IKARS1、IRGS1を樹立できたので、これらを糖尿病性神経障害の病態解明や治療法開発に利用していく。
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Causes of Carryover |
試薬等が、予定より安価で購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用頻度の高い物品(ピペット、試薬)の購入に充てる。
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Research Products
(25 results)