2014 Fiscal Year Research-status Report
小脳系神経回路の構造的特異性を決定する転写制御機構の解析
Project/Area Number |
25430073
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
桑子 賢一郎 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30468475)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経回路形成 / シナプス / 軸索 / 小脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにおこなったCadherin-7の後脳・小脳神経細胞群における詳細な発現解析の結果に基づいて、本年度は橋核神経細胞と小脳神経細胞群との間の回路接続におけるCadherin-7の機能を中心に解析を進めた。まず、初代神経細胞培養系において前シナプス・後シナプスマーカーを用いて細胞生物学的に橋核神経細胞のシナプス結合を解析した。その結果、Cadherin-7は橋核神経細胞とその標的である小脳顆粒細胞との間のシナプス結合を促進するが、橋核神経細胞とプルキンエ細胞との間のシナプス結合には影響を与えないことが明らかになり、Cadherin-7が橋核神経細胞のシナプス結合の特異性を制御する可能性が強く示唆された。また、橋核神経細胞とCOS細胞との共培養実験系を用いて、Cadherin-7の同種親和性結合によるシグナルが橋核神経細胞の軸索内に前シナプス蛋白質synaptophysinの蓄積を引き起こすことも明らかにし、Cadherin-7がシナプス結合の特異性確立だけでなくシナプスの成熟化にも寄与する可能性を示した。また、橋核神経細胞の最終標的細胞である成熟小脳顆粒細胞で発現するCadherin-7が橋核神経細胞の軸索伸展に対して抑制作用を持つことを明らかにし、標的細胞由来のCadherin-7シグナルが軸索の伸展を適切なタイミング・場所で終了させて、シナプス形成を促している可能性が示唆された。一方、本年度は、これまでにおこなったDNAマイクロアレイ解析によって抽出されたCadherin-7の上流の候補発現制御因子群のクローニングやそれらの因子に対するshRNAベクターの構築、さらにそれらの組織学的・生化学的発現解析も進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の研究計画とは少し進め方が変わったが、代わりに回路接続におけるCadherin-7の機能解析が大きく進展し、また次年度以降の研究の準備が順調に進んでいるため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、橋核神経細胞と小脳神経細胞との間の特異的シナプス結合に関してin vivoでの詳細な解析を進めていく予定である。また、同時に、Cadherin-7の上流発現制御因子の同定を目指して種々の生化学的・細胞生物学的実験を進めていく。
|
Causes of Carryover |
未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果であり、次年度の研究費と合わせて消耗品購入に充てる予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
購入を予定していた物品のうち本年度までに購入が終わらなかった抗体や試薬などの消耗品を購入する予定である。
|