2014 Fiscal Year Research-status Report
悪性グリオーマ由来がん性幹細胞を標的とした新規ヒト化抗体医薬の創製
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25430166
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
秋山 靖人 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, その他 (70222552)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗体医薬 / がん性幹細胞 / ヒト化マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
グリオーマ患者腫瘍組織より幹細胞培地(human EGF, FGF, LIF+B-27)にて樹立したがん性幹細胞株3種類に特異的に発現する遺伝子をDNA Gene Chip(human Genome U133A 2.0 Array, Affimetrix)を用いて14種類同定した。対照群は、同一腫瘍より血清培地で樹立した細胞株を使用している。同定された14個の遺伝子群は、すべて発現比が10倍以上亢進していた。これらのうちタンパク質の局在が細胞外であり、NCIのthe Repository of Molecular Brain Neoplasia Data (REMBRANDT) データベース検索にて予後因子となるものを選別した結果、10個の遺伝子に絞り込んだ。この中でYKL-40を含む3種類の遺伝子に関してsiRNAまたはshRNAを用いてこれらの遺伝子の幹細胞の生物活性に対する影響を評価した。細胞増殖に関しては、YKL-40のshRNA処理により悪性グリオーマ幹細胞の増殖が抑制された。今年度は、ヒト末梢血単核細胞にて免疫系を構築したhumanized (ヒト化)NOG-IL-4 Tgマウスを利用してヒト抗体の作製に取り組んだ。YKL-40組換えタンパクは、PCRクローニングしたcDNAを含む発現ベクターを作製し、293細胞発現系を用いて作製した。YKL-40タンパクにて ヒト化NOG-IL-4 Tgマウスを免疫し、抗体価の上昇を確認後、YKL-40タンパク特異的なヒト抗体を産生するB細胞の同定・分離を行った。1個のB細胞から直接抗体遺伝子をクローニングする技術を利用して抗YKL-40抗体遺伝子のクローンを数個取得することに成功した。平成27年度は、ヒト抗YKL-40モノクローナル抗体の機能解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹立した悪性グリオーマ幹細胞に特異的に発現を認めた10遺伝子のうちsiRNA遺伝子処理により増殖抑制を認めたものがYKL-40を含めて3種類であった。それらの候補分子に対してすべて抗体の作製を実施できてはいないが、YKL-40分子に対しては数種類のヒト抗体が取得されている。また最大の課題であったヒト化NOGマウスを利用した組換えタンパクの免疫工程であるが、末梢血液細胞による生着・ヒト免疫系の構築および当該免疫タンパクに対する抗体価の増加が確認できており、YKL-40タンパクでは結果が得られている。ただし、ヒト化マウスに対するタンパクの免疫のプロトコールは、まだ完全ではなく今後より効率的に抗体価を誘導できる方法の改良が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、主にこれまでに取得されたヒト抗YKL-40モノクローナル抗体の機能解析を行う予定である。ELISAおよびSPR法による結合活性の評価が施行される。親和性の高い抗体が得られない場合は、再度ヒト化マウスを用いたYKL-40タンパクの免疫を行う。またYKL-40以外の幹細胞に特異的な候補分子についても免疫用の組換えタンパク作製の準備にかかる。またヒト化マウスを作製する場合のヒト免疫系の構築やタンパクの免疫のプロトコールは、まだ完全ではないため、今後具体的な実験条件の検討を含め効率的に抗体価を誘導できる方法の改良が必要であると考える。
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Research Products
(7 results)