2013 Fiscal Year Research-status Report
表現型性と遺伝子型性が一致しないサクラマスの出現要因および維持機構の解明
Project/Area Number |
25430196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
山本 俊昭 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (30409255)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Y染色体特異的マーカー / 性判別 / 性決定 / サクラマス |
Research Abstract |
本研究では、生殖腺から判別した性はメスであるにもかかわらず、遺伝子解析による性判別はオスであるサクラマス個体の出現パターン、出現要因および維持機構を解明することを目的として行っている。当該年度では、中国地方で3河川、東北地方で2河川、北海道内において10河川の天然河川からサクラマスをサンプリングして、遺伝子解析並びに生殖腺から性判別を行った。その結果、北海道における日本海側の河川において不一致個体が出現したが、他の河川では性判別マーカーにおける不一致は確認されなかった。一方で、本州の河川では、これまで遺伝的性判別に用いていたマーカー(成長ホルモンの偽遺伝子)では性判別が出来ない個体が15尾出現した。考えられる要因の一つとして、近縁種であるアマゴとの交雑が考えられる。本プライマーは、アマゴでは性判別できないことがZhangら(2010)によって報告されていることから、近年多くの河川で放流されているアマゴが偶発的に天然河川に侵入して、交雑を起こしていることにより、性判別が行えなかった可能性が考えられた。また、FISH法を用いた不一致個体の出現要因の解明するため、最初に細胞培養を行っており、染色体標本の作製までは可能となった。その後、プローブを用いてハイブリダイゼーションを行ったが望ましい結果は現在得られていない。さらに交配実験による不一致個体の有利性を調べるために、交配させて個体を世話し続けることが必要であるが、当該年度では、今年度に行う実験のために使用する許可を頂いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FISH法による出現要因の解明のため染色体標本を作成したが、プローブを用いたハイブリダイゼーションが昨年度はうまくできていないことから、やや遅れていると考える。原因としては、プローブの場所として選んだ塩基配列が適切ではないことが十分に考えられる。今年度は、海外の研究者に相談しながら新たな場所を候補として作成し、出現要因を解明したいと考えている。それ以外はおおむね計画通りであると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、本州においてもう少し広域にヤマメのサンプリングを行いたいと考えている。特に九州では、ほとんどの場所にて放流が行われていることから天然河川は無いと考えられるが、九州地方の中で放流されている河川を選び、不一致個体出現が全国的にどのようになっているのかを解明することを試みる。 FISH法に関しては、プローブの開発のためカナダのFisheries and Oceans CanadaにおられるDevlin博士に共同研究の依頼を行い、既にサケ科魚類で行われているプローブの使用をお願いして実験を継続されたいと考えている。 さらに、交配実験による不一致個体の有利性では、北海道水産試験場にて飼育する手配が出来ているため、今年度には交配を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度では、プローブを用いたハイブリダイゼーションを多数行う予定であったが、現在のところ模索段階であるために多検体を行うことは出来ないと判断し、助成金を次年度に繰り越すこととした。 今年度は、海外の研究者への協力依頼を行い、多検体を用いてFISH法を行う予定としていることから、繰り越した金額を使用する予定である。
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