2013 Fiscal Year Research-status Report
生体内機能分子の作用機序を応用した高特異性MMPインヒビターの開発
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25440033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
東 昌市 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (10275076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マトリックスメタロプロテアーゼ / MMP / TIMP / がん転移 / 高特異性インヒビター / ペプチドインヒビター |
Research Abstract |
悪性がんの組織内で高発現しているマトリックスメタロプロテアーゼ (MMPs) は、がん細胞の浸潤性増殖および転移を支えることから、がん治療の有望な標的分子である。しかし、従来型MMP阻害剤は特異性が低く、臨床試験の過程で様々な副作用を示したため、それらを抗がん剤として開発することに成功していない。そこで本研究課題では、個々のMMP活性を特異的に阻害するインヒビターを創出することにより、副作用の極めて少ないがん治療薬の開発へ繋げることを目指している。本年度はβ-アミロイド前駆体タンパク質(APP)に由来する10残基ペプチドインヒビター(APP-IP と命名)が MMP-2 に対し、高い選択性を持つこと、および MMP-2 選択性に関与する APP-IP のアミノ酸残基が私達のこれまでの研究で明らかになっていることを利用して、APP-IP を改変し、 MMP-7 および MMP-9 のそれぞれに対して選択性を持つペプチドインヒビターの開発を試みた。APP-IP の改変方法としては、選択性に関与するアミノ酸残基を一つずつ20種のアミノ酸を網羅するようにランダム変異を導入し、標的 MMP との親和性獲得を指標に選別を行った。選別の方法としては、APP-IP改変体を大腸菌の外膜タンパク質との融合分子として、大腸菌表層にディスプレイさせる方法、およびAPP-IP改変体をGST融合タンパク質として菌体内に発現させ、各クローンの溶解物について標的MMPをリガンドとしたリガンドブロッティング法を用いて親和性を調べる方法を比較した。その結果、リガンドブロッティングを用いる方法が変異導入後の親和性上昇を検出するのに有効であることが判明した。この方法によりMMP-9に対して親和性を獲得したペプチド2種、MMP-7に対する親和性ペプチド1種を得た。今後これらのペプチドと各MMPに対して親和性を持つ生体内物質を組み合わせ、より特異性の高いインヒビターを開発する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目標として、各MMPに対する親和性ペプチドを得るためのスクリーニング方法を確立することにあったが、概ね計画どおりに研究が進み、2種のMMPに対する親和性ペプチドが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は1年目に確立したスクリーニング方法を用いて他の標的MMPに対する親和性ペプチドのスクリーニングを進めるとともに、これらのペプチドを各MMPに対して特異的に相互作用する生体内物質と組み合わせ、より特異性の高いインヒビターの開発を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内に研究室の学内移転があり、その前後数週間研究が出来なかったことから、物品の購入が滞った。 購入が遅れていた物品を早期に購入し、研究のスピードアップに努める予定である。
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