2015 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク温度を1分子レベルで光制御するナノヒーターの開発
Project/Area Number |
25440062
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 裕一 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (50323499)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物物理 / 分子モーター / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
生体分子の局所的温度制御および温度計測を行うため、カーボンナノチューブ(CNT)へのレーザー光照射を用いた温度および分子活性制御システムについての研究を、以下のように行なった。 1)アクトミオシンの局所温度制御:本研究で行ってきた赤レーザーを用いたCNT照射照射によるアクトミオシン温度制御および活性制御について、英文レビュー記事を発表した(Biophysical Reviews)。また、国内雑誌「化学」に研究の概要を発表した。 2)バクテリアべん毛モーターの局所温度制御:温度制御システムが細胞レベルで有効であることを示すために、べん毛モーターの温度および活性制御実験を行った。(活性酸素除去剤を用いた場合)アクトミオシンと同様に温度上昇による回転速度上昇(活性化)を誘導できたが、活性酸素除去剤がない場合は、CNTからの活性酸素発生により、不活性化が見られた。活性化と不活性化は、レーザー照射強度や、照射位置からの距離に大きく依存していたため、これらを操作することによって、本研究で開発したシステムは、積極的に不活性化制御を行うことも可能であることが示唆された。活性酸素は多くの病気や老化等の生命現象の主要原因と考えられているため、本研究で開発したシステムは、医学的応用を考える意味でも重要な基盤技術である。 3)その他:バクテリアべん毛モーターの制御実験を行う過程において、回転運動が2軌道で起こるという新たな運動モード現象に遭遇し、2軌道回転の運動解析およびシミュレーション計算し、Scientific Reports誌に論文発表した。また、F1ATPaseの温度制御に関する共同研究、ダイニンの運動方向性に関する共同研究を発表して、本研究や関連する研究で開発した温度制御・活性制御システムが、様々な分子や細胞のダイナミクス研究に、汎用的に有効であることを示した。
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