2015 Fiscal Year Annual Research Report
抵抗性品種に加害性を示すツマグロヨコバイ"バイオタイプ”の適応機構の解明
Project/Area Number |
25450075
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Research Institution | 国立研究開発法人農業生物資源研究所 |
Principal Investigator |
服部 誠 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 加害・耐虫機構研究ユニット, 研究専門員 (60370673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 由記子 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 加害・耐虫機構研究ユニット, 主任研究員 (80414944)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオタイプ / ツマグロヨコバイ / 唾液タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネの重要害虫であるツマグロヨコバイは吸汁あるいは萎縮病等を媒介することにより被害を与える。野外に生息するツマグロヨコバイは抵抗性品種において師管から吸汁できずに死亡するが、多数の野外虫を抵抗性品種に放飼すると抵抗性品種で生存できる加害性バイオタイプが選抜される。抵抗性品種に対する加害性は単一遺伝子により支配されている。この加害性を決定づけているのは、虫が師管吸汁に先立って吐出している唾液タンパク質における遺伝子変異であるとの仮説のもとに本研究を実施した。すなわち、ツマグロヨコバイの唾液タンパク質を同定し(60種類以上)、それらタンパク質のcDNA配列をバイオタイプ間で比較することによって変異の探索を試みた。約20種類の唾液タンパク質を調べた結果、4つの異なるバイオタイプにおいて、それぞれフレームシフトを伴う1塩基欠損(同一タンパク質の異なる2か所)、アミノ酸置換を伴う1塩基変異、1アミノ酸に相当する3塩基挿入、が見つかった。このうち、1塩基欠損についはバイオタイプ選抜の元となった野生虫の採集地域の違いに関わらず、共通していたことから有力な変異候補と考えられた。そこで、加害および非加害バイオタイプを交配して得たF2分離世代を用いて、抵抗性品種上での吸汁の有無とゲノムDNAの遺伝子型を個体別に連鎖解析した。しかし、変異部分を含むゲノム領域に重複が存在していたことから、正確な判別までには至らなかった。
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