2014 Fiscal Year Research-status Report
イオノミクス・メタボロミクス解析によるRILsを用いた大豆青立ち耐性機構の解明
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25450089
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中村 卓司 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 主任研究員 (60399425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 圭毅 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター 生産環境研究領域, 主任研究員 (40414750)
山田 哲也 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所 畑作物研究領域, 研究員 (60414653)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタボロミクス / 大豆 / 莢先熟(青立ち) / イオノミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
減収を招く大豆の「青立ち」現象(莢先熟)について、近年、青立ち抵抗性の異なる品種・系統の交雑に由来するRILsを作成し、QTL解析を進め、青立ち抵抗性に関する3つのQTLを見出している。青立ちの原因の一つとして結莢期までのソース・シンクのアンバランスが考えられ、このRILsを用いて異なるソース・シンクバランスにおいて青立ち程度と各QTLが関わる代謝について、メタボロミクスを用いて代謝産物を網羅的に解析し、遺伝的特性と青立ち抵抗性の生理生化学的機構の関係を明らかにする。本研究では大豆「タチナガハ/東北129 号」に由来するRILsを供試し、結莢期に0~100%の莢切除を行い、青立ち発生程度と結莢期の茎の代謝産物についてGC-MSで調査した。 その結果、1)RILsの親品種について青立ちが発生する摘莢率を調査したところ、50%摘莢率で青立ち程度の品種間差異が見やすくなった。2)青立ち耐性に関わる3つのQTLが組み合わさるように9グループのRILsの摘莢率と青立ち発生程度をみると、東北129号のQTLが多く組合わさったものが青立ち抵抗性が強い傾向にあると推定された。3) QTLの青立ち抵抗性の強さはqGSD1が強いことが示された。しかし、qGSD1とqGSD2が東北129号由来、qGSD3がタチナガハ由来のQTLの組み合わせの場合、青立ち抵抗性が強くなる傾向にあった。4)このときの各RILsでの茎の代謝成分について主成分解析をおこなった。主成分1の値が大きくなると、青立ち程度も大きくなることから、主成分1が青立ち程度と関係があると考えられた。5) 主成分1への代謝産物の寄与率はアミノ酸、有機酸等が高く、青立ち程度が高い場合、アミノ酸代謝が高まることにより、アミノ酸の炭素骨格の供給源にとなるTCA回路の活性も付随して高まったものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25~26年度おいては、RILs栽培時の青立ち程度と栽培特性の調査および莢切除による影響の評価を行い、その茎葉の養分元素と代謝産物について包括的に解析を行い、青立ちが発生するシンク・ソースバランスの乱れに関わる養分元素や代謝産物の特定を行う計画であった。そこで、青立ち耐性の異なるRILsの親品種を用い、結莢期の茎のサンプリングと莢切除を行い、ソース・シンクのアンバランスが起こり青立ちが発生する莢切除割合を予定通り明らかにすることができた。青立ち耐性の異なるRILsの複数系統を選択し、青立ちが発生するシンク・ソースバランスを変えることにより、青立ちに対する各QTLの抵抗性とそれに関わる代謝について調査することができた。予定した包括的な養分元素の分析については、連携研究者が異動や大学で管理しているICP-MSの故障などにより時間をとられ、分析に遅れが見られるが、サンプルの酸分解を進めており、ICP-MSの準備ができ次第、分析を開始する。おおかたは計画通り進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度まではRILs系統群の栽培を行い、青立ち耐性について結莢期の茎葉サンプルを用いて評価を行ってきた。本年度は更に青立ち耐性に関わるQTLの代謝に関わる効果を明らかにするため、NILs(準同質遺伝子系統)を用いて昨年度と同様に、養分元素および代謝産物ついて網羅的に解析をおこなう。特に代謝産物ばかりでなく養分元素の包括的解析についても更に分析を進め、青立ち耐性と代謝機能との関連性を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品等の購入で若干の割引があり効率的に納品できたため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお次年度使用額は、試験研究の効率化をおこない発生した残額のため、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のため使用する。
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Research Products
(1 results)