2014 Fiscal Year Research-status Report
植物性食品および生薬中の抗腫瘍物質としての高分子ポリフェノール研究の展開
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25450170
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
波多野 力 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50127578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 靖雄 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00163387)
坂上 宏 明海大学, 歯学部, 教授 (50138484)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食用植物 / 薬用植物 / 高分子ポリフェノール / タンニン / 人工タンニン / 抗腫瘍作用 / フトモモ科 / Feijoa sellowiana |
Outline of Annual Research Achievements |
食用および薬用とされる植物の高分子ポリフェノールについて精製単離、同定、構造決定を進め、以下に示す知見を得た。フトモモ科のFeijoa sellowianaから、これまでの検討と併せて、フラボノイド12種、カテキン類4種、プロアントシニジン3種、エラグ酸関連物質5種、単純フェノールカルボン酸等4種とともに16種の加水分解性タンニンを単離することができた。これらのうち加水分解性タンニンについては、1,2,3,6-tetra-O-galloyl-beta-D-glucose、1,2,3,4,6-penta-O-galloyl-beta-D-gluoseのようなガロタンニン、2,3-O-hexahydroxydiphenoyl-D-glucose、pedunculagin、tellimagrandin I、strictinin、isostrictinin、casuarictin、castalagin、vescalagin、1-O-galloylcastalagin、casuarinin、casuariinのようなエラジタンニンに加えて、acutissimin A、stenophyllanin A、stenophyllanin Cのような複合タンニンをも同定することができた。さらに、ギョリュウ科のTamarix属植物からは、新規エラジタンニンを得てその構造解明を進めるとともに、マンサク科、およびクスノキ科植物のタンニンについても検討を進め、抗生物質耐性菌に対する抗菌作用を認めた。また、ダビディア科植物からタンニンを得て口腔がん細胞に対する選択的な抗腫瘍作用を見出した。これらの他、人工タンニンの合成に関連して、新たなアシル基の導入をも達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フトモモ科植物のポリフェノールについて加水分解性タンニンを中心に単離同定を進めることができた他、ギョリュウ科植物についても新規タンニンを含めて高分子ポリフェノールの解明を進めることができた。さらに、マンサク科植物、クスノキ科植物のタンニンの解明を進めるとともに、ダビディア科植物からタンニンを得て抗腫瘍作用を明らかにすることができた。また、人工タンニンと呼びうる化合物の範囲を拡張することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
食用植物および薬用植物の中には、タンニンをはじめとする多量の高分子ポリフェノールを含むものがあることから、その化学的な検討をさらに進める。さらに抗腫瘍作用とともに、抗生物質耐性菌に対する作用等をも示すことをも見出しているので、資源植物としての価値を再評価し、開発を進める。
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Causes of Carryover |
年度末に少額の残金が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度に物品費の一部として使用する予定としている。
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