2015 Fiscal Year Annual Research Report
食事性肥満・糖尿病発症における男性ホルモン作用の解明
Project/Area Number |
25450176
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
原田 直樹 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 講師 (00529141)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 腸内細菌 / アンドロゲン / 肥満 / 脂肪肝 / 高脂肪食 / 去勢 / テストステロン / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
去勢後に高脂肪食を与えて16週間飼育したマウスでは、摂食量が減少したにもかかわらず、体重は擬似手術群より増加した。また、乾燥糞重量を摂食量当たりで換算すると高脂肪食摂取時に去勢により減少した。高脂肪食を摂取させた去勢マウスにおいて、摂食量当たりの糞重量が減少したことから、腸内環境に変化があると考えられた。そこで、高脂肪食摂取マウスに去勢または擬似手術を行い、さらに抗生物質を摂取させて飼育した。すると、去勢時に観察された体重、腸間膜脂肪の増加、食餌効率の上昇が見られなくなり、摂食量当たりの糞重量の減少、大腿筋の減少も抗生物質の投与で打ち消された。一方で、鼠蹊部皮下脂肪は抗生物質を投与しても去勢により増加した。 次に、13週齢において、体内で生じた去勢の影響を検証した結果、腸間膜脂肪では、去勢により脂質分解の減少(AtglとHslの減少)が生じ、抗生物質の投与で去勢によるAtglとHslの減少作用が消失することが判明した。 去勢が糖代謝に及ぼす影響を検討したところ、空腹時血糖値は高脂肪食摂取マウスでのみ去勢により上昇した。そこで、インスリン負荷試験を行ったが標準食、高脂肪ともに去勢群と対照群で血糖値の低下に差はなかった。抗生物質を投与すると、去勢による空腹時血糖値の上昇は見られなくなった。 糞中の細菌から抽出したDNAを用いて腸内細菌叢を調べたところ、高脂肪食摂取時にのみ、去勢によりFirmicutes/Bacteroidetesの比が上昇し、肥満型の細菌叢となっていた。Firmicutesの中では高脂肪摂取時にのみ、乳酸菌であるLactobacillus属の細菌が去勢マウスで増加することがわかった。
|