2014 Fiscal Year Research-status Report
糖化脂質によるテロメラーゼ活性化の基盤的研究:糖尿病と癌の関わり
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25450185
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
永塚 貴弘 新潟薬科大学, 応用生物科学部, 助教 (30445895)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 癌 / 糖化脂質 / テロメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
アミノ基を有するリン脂質が糖化を受けて生成する糖化脂質は糖尿病患者に高蓄積し、これが糖尿病合併症を誘発する。疫学研究によって糖尿病患者は健常者よりも癌に罹りやすいことが示され、特に近年の日本の糖尿病患者における死因の第1位は癌であることからも、糖尿病と癌の関わりを解明することは喫緊の課題と言える。申請者は、癌細胞に無限増殖能を与える酵素テロメラーゼを糖化脂質が誘導することを世界で初めて発見した。平成26年度は、動物実験による糖化脂質の癌に対する影響評価を研究目的とした。 担癌マウスに糖化脂質を投与することで、腫瘍に対する影響を評価した。糖化脂質の化学合成に時間を要してしまったことが原因で、マウスの匹数を十分に取れず、糖化脂質が腫瘍サイズを増大させる傾向は得られたが、有意差はなかった。平成27年度に実施予定の、”糖化脂質のテロメラーゼ活性化を抑制する食品成分の探索”について検討した結果、ビタミンE(α-トコフェロール)の濃度に依存してテロメラーゼの活性化を抑制した。この処理濃度としては30~50μMであり、比較的生理的な濃度で効果が得られたことから、有益な結果が得られたと考えられる。 糖化脂質の癌に対する作用を消去する食品成分を見出しつつあることから、糖尿病患者における癌のリスク低減につながる可能性が開けた。これにより、糖尿病患者の生活の質(quality of life:QOL)の向上と、糖尿病に要する国民医療費の高騰抑制に結びつくと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖化脂質の化学合成に時間を要したことから、動物実験の進行が遅れてしまった。遅延した研究を平成27年度に改めて実施する。なお、遅れた分の時間を平成27年度に実施予定の研究に割いており、良好な成果を得ることができた。したがって、本研究課題が終了する平成27年度にはすべての実験を遂行できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
担癌マウスの匹数を増やして動物実験を展開する。さらに、糖化脂質の効果を抑制する食品成分をスクリーニングし、糖尿病による癌のリスク低減につなげる研究を推進する。
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Causes of Carryover |
糖化脂質のサンプル調製に時間を要したため、動物実験の進行が遅れ、その分の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に遅延分の動物実験を行う。
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