2013 Fiscal Year Research-status Report
花粉を飛散しないスギ品種を高精度で判定する技術の開発
Project/Area Number |
25450223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
上野 真義 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (40414479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二村 典宏 独立行政法人森林総合研究所, 生物工学研究領域, 主任研究員 (80343804)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スギ / 雄性不稔 / RNA-Seq / 遺伝的変異 / 連鎖解析 |
Research Abstract |
日本の主要な造林樹種であるスギを対象に、高密度連鎖地図の作成やアソシエーション解析で利用するための一塩基変異(SNV)を発現遺伝子の網羅的な配列解析(RNA-Seq)から探索した。無花粉個体を育種母材として利用して雄性不稔の形質が付与された個体を造林に用いることで、大気中におけるスギ花粉量の低減に寄与することを目指している。RNAの抽出には新潟県森林研究所で育成された家系の雄花を使用した。家系は雄性不稔の母樹と精英樹由来の花粉親を両親とし、実生には雄性不稔個体と可稔個体が1:1の期待値で観察される。実生にはジベレリンを散布し雄花の着花を促進した。雄性不稔個体は花粉の発生途中から異常な形態を示すことがわかっているため、雄花の採取は花粉が形成される10月に5回行った。家系の雄性不稔個体と可稔個体のそれぞれ約50個体から採取した雄花からRNAの抽出をCTAB法で行った。抽出されたRNAを精製し、cDNAライブラリーを構築した。精英樹由来の花粉親と精英樹からも同様にcDNAライブラリーを構築した。Illumina社のシーケンサーを用いてライブラリーの配列を決定した。総計、740億本の配列(リード)を収集した。アダプターなど不要な配列やエラーの多い配列を除去し640億本(84%)の有効なリードを得た。これらの配列をスギの遺伝子カタログ(参照配列)に対してマッピングを行い、520億本(81%)のリードをマップした。6サンプルから約39万個のSNV候補を検出し、雄性不稔との関係を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の成果を学会において発表するまでには至らなかったが、当初の交付申請書に記載した計画に従って研究が進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に探索した一塩基変異(SNV)を詳細に解析し、配列決定に伴うエラーの補正を行った後、不稔個体と可稔個体に共通する一塩基変異を選び出す。これらの一塩基変異を用いて雄性不稔家系で連鎖解析を行う。一塩基変異の遺伝子型の決定にはFluidigm社の解析装置を用いて行う。 雄性不稔の原因遺伝子を連鎖解析するための交配家系の各個体(合計185個体)からDNAを抽出して、制限酵素で切断して、DNA断片のライブラリーを作成する。DNA断片の両末端の配列をGBS(Genotyping by Sequencing)という方法で収集し、ゲノム配列を収集する。これらの配列中から雄性不稔の形質に関係した遺伝的変異を探索し連鎖解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した物品が予定額よりも低価格で納品されたため。 平成26年度の物品の購入で使用する。
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