2014 Fiscal Year Research-status Report
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25450234
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 章夫 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40183040)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非破壊試験 / ヤング率 / 造林木 / 材質 / 立木 / 応力波伝播速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
静荷重方式の樹幹ヤング率評価法の確立を目的として,平成26年度は以下の項目について研究を実施した。 1.ファコップの試験条件の検討:応力波伝播速度の測定手段として,林学分野で普及しつつあるファコップを用いて,打撃方法(センサーの打ち込み角度と打ち込み深さ,および打撃の加速度)が伝播速度測定値に及ぼす影響について実験的に検討し,適正な試験条件を決定した。 2.樹幹ヤング率,樹幹の応力波伝播速度,および丸太の動的ヤング率の比較:北海道内の以下の3林地で標記項目の測定を行った。新十津川町の29年生カラマツ(平均樹高14.7m,平均直径19.1cm)と砂川市の42年生トドマツ(平均樹高15.9m,平均直径20.0cm)各10本について,立木曲げ試験による樹幹ヤング率とファコップによる応力波伝播速度を測定したあと,供試木を伐採し,縦振動法で丸太の動的ヤング率を測定した。また,三笠市の試験林でグイマツ雑種40本(平均直径16.5cm)についても,立木曲げ試験による樹幹ヤング率とファコップによる応力波伝播速度を測定した。カラマツとトドマツの供試木について,丸太の動的ヤング率と樹幹ヤング率,応力波伝播速度の2乗値との相関をみたところ,相関係数はそれぞれ,0.76および0.78といずれの結果も丸太の動的ヤング率との相関は高く,どちらの方法でも精度よく丸太のヤング率を推定することができた。 3.樹幹ヤング率の測定精度におよぼす樹幹の形状比(樹高/胸高直径)の影響の検討:形状比の大きな樹木では曲げ試験時に上部質量の移動による付加モーメントが測定誤差に影響するおそれがある。トドマツとカラマツの試験結果について,その影響について検討した結果,樹幹ヤング率に対する動的ヤング率の比と形状比との間に関係は認められず,今回の供試木の形状比の範囲内では測定精度への影響はないことが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ファコップによる応力波伝播速度の測定方法について,安定した測定値を得るための適正な実験条件を明らかにした。また,前年度に引き続き,静荷重立木曲げ試験と応力波伝播速度測定試験,および丸太の縦振動試験をトドマツ,カラマツについて実施して解析に必要なデータ数を増やすことができた。グイマツF1の供試木については,積雪期前に伐採することができず,丸太の実験ができなかったが,これについては平成27年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に伐採したカラマツ,トドマツの丸太から製材済みの試験材料から小試験体を調整し,ヤング率の樹幹内分布を調べる。試験結果から樹幹ヤング率,応力波伝播速度,丸太の動的ヤング率,および樹幹内のヤング率分布の相互関係を検討し,平成25年度の結果も合わせて,本研究で開発した静荷重方式の樹幹ヤング率測定値による造林立木の材質評価法を整理して提案をまとめる。平成26年度に未伐採のグイマツF1についても丸太の動的ヤング率や樹幹内のヤング率分布を測定する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた供試林での供試木の伐採が平成26年の積雪前に実施することができなかったため,それに伴う丸太の運搬費,試験体の調整,および実験に関する支出がなされなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施しなかった当該供試木の伐採,北海道大学への運搬を平成27年度にすみやかに行い,予算を適正に執行する予定である。
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Research Products
(2 results)