2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450255
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
下出 信次 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (70397090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カイアシ類 / Eucalanidae科 / 生活史 / 成長に伴う季節的鉛直移動 / 適応 |
Research Abstract |
西部北太平洋の東経128~165度、北緯15~49度の海域で、JAMSTEC「白鳳丸」の航海KH-03-02、KH-06-01、KH-06-02、同「淡青丸」の航海KT-08-07、KT-09-03、水産総合研究センター「若鷹丸」の航海WK0805において、計45測点で採集された動物プランクトン試料の解析を行った。上記で得られた動物プランクトン試料から、Eucalanidae科各出現種の発育ステージを同定し、個体数の計数を行った。当初、本科出現種の生物量等の解析を実施する予定であったが、出現種の生活史が種ごとに異なる事が明らかとなり、予定を変更し、出現種の生活史の詳細について解析を実施した。その結果、亜熱帯海域において、成長に伴う季節的鉛直移動を行う可能性が示唆される種は、Rhincalanus nasutus、R. rostrifrons、Eucalanus californicus、E. hyalinus、E. spnifer、Pareucalanus parki、Subeucalanus crassusの7種であり、これら7種の表層下での休眠ステージとそれらの分布深度は、種ごとに異なり、先行研究で明らかになっている高緯度海域に分布する同科他種の生活史に関する情報を加味すると、本科における成長に伴う季節的鉛直移動は、1)高緯度型(Eucalanus bugiiやRhincalanus gigas)、2)中緯度型1(E. californicusとP. parki)、3)中緯度型2(S. crassus)、4)低緯度型(R. nasutusやR. rostrifrons、E. hyalinus、E. spnifer)の4型に大別されることが明らかとなり、これらの生活史のパターン変遷から、本科における低緯度から高緯度の環境への適応の過程が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画を変更し、平成25年度にEucalanidae科出現種の生物量や成体雌の卵巣成熟度合いに関する解析は実施しなかったものの、亜熱帯海域で同科7種の生活史が明らかとなり、さらに先行研究の結果を加味した結果、本科の低緯度海域から高緯度海域への適応・進化の過程に関する新しい知見が得られた。これらの結果を鑑み、計画の変更はあったものの、本研究はおおむね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降に関しては、当初の予定通り、上記Eucalanidae科7種のうち個体数密度で卓越するE. californicusに関して、相模湾西部沿岸域で実施されてきた長期モニタリング試料を活用し、春季の表層への出現時において、本種の個体数密度と生物量、成長ステージ組成、成体雌の卵巣の成熟度合の測定を行い、中長期的な個体群動態の解析を実施する。さらに、同海域において,飼育実験用の新規採集を実施し、卵生産速度を測定する。飼育時の水温に関しては、亜寒帯域に生息する姉妹種(E. bungii)および本種のカリフォルニア沖の個体群における結果と比較するため、現場水温に加えて、水温5度から20度まで5度刻みで異なる水温を設定し、産卵最適水温を特定する。また、卵孵化率の測定もそれぞれの水温区で実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、着任後初めて講義担当となり、大学での教育関係の業務に時間を割いたため、予定していた学会発表を取りやめたので旅費を使用しなかった(物品費として実験消耗品の購入に振替を行った)。また、論文投稿に関しても、同様に理由によりデータの解析に時間が掛かっており、現時点で投稿できていないため、英文校閲用に確保していた予算を使用できなかったため、次年度使用額が発生した。 平成26年度に関しては旅費およびその他の費用として英文校閲費を計上しているため、平成25年度に発生した次年度使用額は、これらの不足分として使用し、余剰が出た場合は実験消耗品の物品費として使用したい。
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Research Products
(2 results)