2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450256
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
石川 輝 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (00273350)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有毒渦鞭毛藻 / Dinophysis属 / 餌生物 / 繊毛虫 |
Research Abstract |
渦鞭毛藻Dinophysis属の中には下痢性貝毒を産生し,二枚貝類を毒化させる有毒種が知られている。それら有毒種の中で特に警戒を要するD. fortiiやD. acuminataをはじめとする混合栄養種では,これまでの培養実験により,いずれの種においても繊毛虫Mesodinium rubrumを餌としていることが明らかにされた。しかし,自然界においては,このM. rubrumと混合栄養性Dinophysis属との出現関係について調べられた例はない。そこで本研究課題では,高頻度の現場調査を行うとともに,現場から得られたDinophysis属細胞の食胞内に残存する遺伝子を解析して餌生物の特定を試みる。これらにより餌生物との関係から混合栄養性Dinophysis属の発生機構を解明することを目的とする。 平成25年度は、三重県白塚漁港内に一調査点を設け、冬季はほぼ隔週で、春季から秋季にかけては基本的に週一回の頻度で採水調査を行った。得られた試水をブアン溶液で固定し、倒立顕微鏡によるD. acuminataとM. rubrumの観察・計数に供した。これまでの調査により、M. rubrumの細胞数が増加した後、D. acuminataの細胞数が増加し,反対にM. rubrumが減少した後にD. acuminataが減少する場合が多いことが明らかとなった。このことは、自然水域においてもD. acuminataとM. rubrumの間には捕食―被捕食の関係が成り立っていることを示唆するものである。なお、白塚港の海水から単離したD. acuminataの食胞中遺伝子(すなわち餌生物の遺伝子)の抽出と解析を行うべく、制限酵素処理法を適用したところ成功し、M. rubrumの遺伝子が検出された。これは、自然水域のD. acuminataも餌としてM. rubrumを捕食している直接的な証拠となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現場調査では天候に恵まれ、予想以上の数のサンプルを採集でき、顕微鏡観察も順調に行われた。また、Dinophyisis属の細胞内食胞中に残存する餌生物の遺伝子解析を行う方法の適用に目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで行ってきた現場における高頻度採水調査を継続して行ない、Dinophyisis属と餌生物となる繊毛虫の出現関係をより詳細に観察する。また、平成25年度は、Dinophyisis属の細胞内食胞中に残存する餌生物の遺伝子解析において制限酵素処理法を適用し成功したところであるが、今後はさらにブロッキング・プライマー法を用いて餌生物遺伝子の検出精度向上を試みる。
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Research Products
(6 results)