2014 Fiscal Year Research-status Report
有明海底泥の巻き上げに伴う懸濁層における栄養塩動態のモデル化
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25450258
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
郡山 益実 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (30380794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有明海 / 底泥 / 巻き上げ / 栄養塩 / 吸着態NH4 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有明海奥部の底泥の巻き上げに伴う懸濁層における栄養塩動態を現地調査より把握すると同時に、室内実験より懸濁層における底泥への栄養塩の吸脱着特性について明らかにし、そのモデル化を行うことを目的としている。 平成26年度は、昨年度実施した現地調査の水質及び栄養塩データの整理・解析を行った。その結果、河口浅海域における底層付近の濁度及び塩分と栄養塩濃度との関係が明らかにされた。すなわち、底層付近のNH4とPO4濃度の変動は、濁度(底泥の巻き上げ)と塩分(河川からの栄養塩流入)でそれぞれ69%及び90%説明され、NH4濃度については濁度と塩分が同程度、PO4濃度は塩分の影響が大きいことが多変量解析より明らかにされた。 これらの現地調査の解析結果に基づき、巻き上げに伴う底泥からのNH4供給量及び供給源(NH4が溶存態か吸着態由来のものか)を定量的に評価するため巻き上げ実験を行った。巻き上げ実験は、河口浅海域の水質環境を考慮し、SS濃度(巻き上げ量)と塩分(10,20,30‰)を段階的にコントロールして実験を行った。その結果、(1).吸着態NH4の脱離量は、SS濃度が0~200mg/lの間では、SS濃度の増加に伴い指数関数的に増加し、SS濃度が300mg/l以上の高濁度では、概ね30~50μgで推移した。(2). SS濃度が200mg/l以上の懸濁層において、吸着態NH4脱離量の巻き上げに伴うNH4供給量に占める割合は平均41%であった。(3).巻き上げ実験を通して、塩分の変化に伴う吸着態NH4脱離量の変化は見られなかった。以上の結果より、底泥の巻き上げに伴う懸濁層内のNH4濃度の変動には、巻き上げられた底泥土粒子から脱離したNH4の供給が大きく寄与し、懸濁層内の塩分濃度の影響は小さいことが実験的に明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度夏季の集中観測と係留観測のデータを解析結果より、有明海の河口浅海域における栄養塩変動に及ぼす底泥の巻き上げと河川からの栄養塩流入の影響が定量的に評価された。また、底泥の巻き上げ実験により、懸濁層内のNH4濃度の変動には、底泥土粒子から脱離した吸着態由来のNH4供給が最大で4割程度影響することが実験的に明らかにされた。これらの研究成果は、1)河口浅海域における栄養塩濃度の潮汐周期に及ぼす底泥の巻き上げの重要性や、2)懸濁層におけるNH4変動の供給源を実験的に明らかにしており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の行った底泥の巻き上げ実験は、巻き上げ量と塩分のコントロールでNH4に関する吸脱着特性の解明に留まっている。本年度は、吸脱着特性に及ぼす他の因子(温度とDO濃度)を考慮した追加実験を行うと同時に、PO4に関する巻き上げ実験も並行して実施し、研究成果を取り纏める。
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Causes of Carryover |
予算の執行は概ね計画通りであるが、試薬・消耗品の購入が当初計画と若干変更したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
巻き上げ実験の消耗品に使用する。
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Research Products
(3 results)