2015 Fiscal Year Annual Research Report
有明海底泥の巻き上げに伴う懸濁層における栄養塩動態のモデル化
Project/Area Number |
25450258
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
郡山 益実 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (30380794)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 有明海 / 底泥 / 巻き上げ / 栄養塩 / 吸着態リン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、平成25年度夏季に実施した現地調査の解析結果に基づき、巻き上げに伴う底泥からのPO4供給量及び供給源(PO4が溶存態か吸着態由来のものか)を定量的に評価するため巻き上げ実験を行った。まず、予備実験として六角川河口域で採泥した底泥試料の乾燥泥(2.5g)を100mlの三角フラスコに入れ懸濁実験を行った。その結果、実験終了時における懸濁水中のPO4-P濃度は、約1.1mg/l増加した。このことから、底泥土粒子に吸着しているPO4-P(吸着態PO4-P)は、巻き上げ(物理的撹拌)によって、懸濁水中に脱離することが確認された。次に、対象とする河口浅海域の水質環境を考慮し、SS濃度(巻き上げ量)と塩分(10,20,30‰)を段階的にコントロールして底泥の巻き上げ実験を行った。その結果、(1).SS濃度が2000~4000mg/lの高濁度層において、吸着態由来のPO4-P現存量は、懸濁水中のPO4-P現存量の70%程度を占めた。また、高濁度層における吸着態由来のPO4-P現存量は、巻き上げられた土粒子の吸着態PO4-Pの13~24%が懸濁水中に脱離したものであることが実験的に明らかにされた。(2).吸着態PO4-Pの脱離量は、巻き上げ量(SS濃度)の増加に伴い指数関数的に増加した。(3). 巻き上げ実験を通して、塩分の変化に伴う吸着態PO4-P脱離量の変化は見られなかった。以上の結果より、底泥の巻き上げに伴う懸濁層内のPO4-P濃度の変動には、巻き上げられた底泥土粒子から脱離した吸着態由来のPO4-Pの供給が大きく寄与し、吸着態PO4-Pの脱離量は、巻き上げ量(SS濃度)に大きく依存することが明らかにされた。
|