2013 Fiscal Year Research-status Report
ニューメラシーが食品のリスク認知と購入選択に及ぼす影響の実証分析
Project/Area Number |
25450314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
澤田 学 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (60142791)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニューメラシー / グラフリテラシー |
Research Abstract |
日本の消費者のニューメラシー(数値や確率を含む統計量の示す情報を読み取る能力)を測る尺度を作成するため,海外の医療コミュニケーション学や意志決定科学の分野で使用されている様々なニューメラシー尺度を比較検討した.その結果,従来の代表的な尺度は,設問数が比較的多いこと,回答方法が数字記入であることから,他の質問項目も多数含む本研究のWeb調査では被験者の心理的負荷が大きいこと,さらに年齢・学歴により尺度の分布に歪みが生ずることが明らかとなった.そこで,これらの問題点を克服するべく最近開発されたBerlinニューメラシー・テストならびにRasch-based ニューメラシー尺度の各項目を本研究で使用する尺度項目候補として決定した. さらに,様々な種類のリスクの相対的大きさの比較図(リスク・ラダー)による食品リスク情報提供が消費者のリスク理解にどの程度有効であるかを測る尺度を作成するため,海外の医療コミュニケーション学やリスク分析の分野で使用されている様々なグラフリテラシー尺度を比較検討した.その結果,グラフから特定の情報を見いだす,グラフに示されたデータ間の関係を読み取る,グラフのデータから推測・予測するという3つの能力を測る尺度項目候補が実証分析に必要であることがわかった. 今後は,決定したこれらのニューメラシーならびにグラフリテラシーの尺度項目候補の日本語版を作成し,Web調査により収集した回答データに基づいて,被験者のニューメラシーならびにグラフリテラシーのレベル測定と個人属性や食の安全知識・購買態度,リスク認知バイアスとの関連を実証的に解明する計画である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ニューメラシー尺度の開発と応用に関する研究がここ1,2年の間に急増し,ニューメラシー尺度のレビューと各尺度の長短所の検討に予想外の時間を費やさざるをえなかった. また,当初は次年度以降に取りかかる予定であったグラフリテラシー尺度のレビューと本研究に採用する同尺度項目候補の検討も併せて行った. 以上の理由により,ニューメラシーの測定と,その測定結果に基づくニューメラシー・レベルが被験者のどのような個人属性や食の安全に関する知識・態度,リスク認知バイアスと関連しているかを解明するためのWeb調査とその解析が年度内に実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の研究計画のうち,やり残した研究課題(ニューメラシーの測定,被験者のニューメラシー・レベルと個人属性や食の安全に関する知識・態度,リスク認知バイアスとの関連の解明)については,26年度前半期中にWeb調査を実施し,年内に結果を取りまとめる予定である. なお,当初の計画では26年度にBSE国内対策の緩和,27年度に食品中の放射性物質基準値にそれぞれ焦点を当てて,ニューメラシーと消費者の牛肉選択の関連を実証分析することになっているが,社会情勢の推移如何によっては,実施順序を変更する可能性もある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ニューメラシー尺度の開発と応用に関する研究がここ1・2年の間に急増し,ニューメラシー尺度のレビューと各尺度の長短所の検討に予想外の時間を費やさざるをえなかった. また,当初は次年度以降に取りかかる予定であったグラフリテラシー尺度のレビューと本研究に採用する同尺度項目候補の検討も併せて行った. 以上の結果,ニューメラシーの測定と,その測定結果に基づくニューメラシー・レベルが被験者のどのような個人属性や食の安全に関する知識・態度,リスク認知バイアスと関連しているかを解明するためのWeb調査が年度内に実施できず,当該調査委託費として計上した経費が未使用となり,次年度使用額が生じた. 25年度の研究計画でやり残した研究課題(ニューメラシーの測定,被験者のニューメラシー・レベルと個人属性や食の安全に関する知識・態度,リスク認知バイアスとの関連の解明)を遂行するために,次年度使用額を使って26年度前半期中にWeb調査を実施する. 翌年度分として請求した助成金は,26年度の研究実施計画に従って,BSE国内対策の緩和(あるいは情勢の推移如何によっては27年度実施予定の,食品中の放射性物質基準値)に焦点を当てた,ニューメラシーと消費者の牛肉選択の関連を実証分析するためのWeb調査委託費などの経費に使用する計画である.
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