2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト東日本大震災におけるローカル・フードシステムの成立条件に関する研究
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25450327
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
三石 誠司 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10438096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 雅俊 一般財団法人農政調査委員会, 調査研究部, 研究員 (00468141)
吉田 俊幸 一般財団法人農政調査委員会, 調査研究部, 研究員 (30285069)
鷹取 泰子 一般財団法人農政調査委員会, 調査研究部, 研究員 (30643283)
佐藤 奨平 一般財団法人農政調査委員会, 調査研究部, 研究員 (70636430)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ローカル・フードシステム / ファーマーズ・マーケット / グローバル・フードシステム / 水田農業 / 地域資源 / ケーススタディ / 有機農業 / 6次産業化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、大災害にも耐え得る「ポスト東日本大震災におけるローカル・フードシステムの成立条件」の解明を目的としたものである。 最終年度は過去2年間の成果を踏まえ、1)わが国最大のフードシステムを構成する米の生産・流通と政策の特徴の整理、2)ローカル・フードシステムとしての顕示性が比較的強い有機農産物の生産・流通の仕組と恩恵、3)災害後のローカル・フードシステムの比較事例として海外現地調査(2014年タイ・2015年インドネシア)事例の検討、を中心に、各々の教訓や検討結果を含む形で、学会等の発表・雑誌論文等で成果を公表した。主な点は以下のとおりである。 第1に、大規模稲作経営の視点から見た米のフードシステムにおける最大の経営リスクは、政策変更と補助金の増減であり、今後の米を中心としたフードシステムでは、米価は市場原理に委ねた上で、稲作経営者の経営を価格低下から守るためのセーフティネット(直接支払や経営安定対策等)の検討・構築が必要という点が強く示唆された(吉田2015他)。 第2に、有機直売市は、実際には新規就農した若手農家が最初に農産物の取り扱いや販売の実務を学ぶ場所としての機能が重要な貢献をしていることが判明した。これは、農産物の出荷・取扱いにおいて、既存の商業施設との共存共栄に繋がる可能性、つまり、代替的なローカル・フードシステムの構築可能性が示唆されたことになる(鷹取2015他)。 第3に、ローカル・フードシステムという用語では、「ローカル」の定義そのものが未だ国内外・地域ごとに異なることや、わが国の規模とも大きく異なる点が明らかになった。また、ローカル・フードシステムは既存のフードシステムの代替性という点で、民間企業の人材や資金の活用により大きな柔軟性がある事例を複数確認できたが、頑強性に関する定量的な検証までは至らなかった。この点については今後の検証が必要である。
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Research Products
(37 results)