2014 Fiscal Year Research-status Report
気象庁数値予報データを活用する全国農地の放射量分布予測システムの開発
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25450379
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大野 宏之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター情報利用研究領域, 主任研究員 (00354027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 靖弘 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作研究領域(芽室), 主任研究員 (00370544)
佐々木 華織 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター情報利用研究領域, 主任研究員 (50355278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 全天日射量 / 下向き長波放射量 / 雲量 / 数値予報 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟県における放射量観測を継続した。冬期間に2回機器が停止したが、その都度復旧作業を行い観測を再開させた。数日分の欠測が発生した。 これまでに収集・整理した1980-2012年の日本国内44地点における全天日射量の時別観測値を解析した。その結果、観測された全天日射量を、昨年明らかにされた大気透過率を用いて推定した雲のない状態で予測される日射量で除した量は、気象庁のMSM-GPVの層別雲量予測値を説明変数とする重回帰で推定できることが明らかになった。MSMによる雲量の予報が正しく行われた(全雲量の誤差0.3以下)ケースだけについて、全天日射量の6時間積算値の平均平方値平方根誤差(RMSE)を計算すると、79.52 W/m2が得られた。 気象庁のGSM-GPVの導入により予報期間を延長するために、MSM-GPVから推定した下向き長波放射量の誤差とその要因を解析した。最も短い予報時間(0-2h)の予報値から計算した下向き長波放射量の誤差は0.7~1.4MJ/m2/dであるが、1日先(24-26h)の予報値から計算したそれは1.2~1.6MJ/m2/dと大きく、誤差率は3.7%~5.2%であった。そして、誤差は主に雲量の予測誤差と気温予測誤差に基づき、寄与率は、それぞれ、2/3、1/4程度と見積もられた。また、誤差の傾向と季節変化には地域性が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日射量については、MSM-GPV予報値を用いて個別地点における日射量を推定する手法がほぼ完成したが、それを3次メッシュとして展開するために必要な大気透過率分布を標高補正する手法の開発に手間取った。 下向き長波放射量については、GSM-GPVによる2日以降の誤差評価まで解析が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目標を達成するために、日射量については、大気透過率の気候値を標高を考慮して推定する手法を完成させ、MSM-GPV予報値にもとづく全天日射量の推定手法を完成させる。下向き長波放射量については、GSM-GPVに基づく予測データセットを作成し、2日以降の誤差評価を実施する。そして、これを用いて、日最低気温の精度向上を図る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、放射観測装置の購入金額が予定額を下回ったこと等、予算を効率的に使用した結果である。なお、この額が前年度における額、430,878円と大きな違いがないのは、手法開発の進捗状況から、放射分布予測システムを実装する計算機資源の今年度の購入を見送ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額380,474円は、放射分布予測システムを実装する計算機資源の購入と開発した手法の実装に使用する。また、新潟県に設置した観測機材の撤去費用や成果の公表等、次年度に請求する研究費とあせて研究計画遂行のために使用する。
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