2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター属菌持続感染とATP分泌性腸球菌の炎症性腸疾患発症における役割解明
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25450444
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山中 仁木 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 助教 (30533921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 律子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (60297596)
大沢 一貴 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (90244756)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヘリコバクター属菌 / 大腸粘膜 / 盲腸粘膜 / 粘膜固有層リンパ球 / ヘルパーT細胞反応 / 感染防御機構 / 生殖器 / ATP分泌性腸球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘリコバクター属菌の未分類菌MIT01-6451の病原性について明からすることが本研究の目的である。 本研究では、まず実験用マウス各系統から粘膜免疫を刺激するATP分泌性のバンコマイシン低度耐性腸球菌を検出し、これらの腸管炎症における役割を解明する必要性を示した。 一方、MIT01-6451を分離し形態・生化学的性状と共に、マウスの盲腸以下の消化管に主に生息することを明らかにした。また、胎子への垂直感染は起こさないが、感染した重度免疫不全(SCID)マウスで子宮や胎盤から菌が検出され分娩異常が見られたことから、生殖器において病原性を示す可能性を示した。 MIT01-6451感染SCID雄マウスの30%で脱肛、肝臓では壊死が、また、脱肛など臨床症状が認められない雌マウスの一部でも肝臓に壊死が認められた。また、感染SCID雌マウスで盲腸が非感染マウスと比較して有意に軽く、盲腸粘膜固有層リンパ球反応を調べたところ、IFNgとTNFaの発現が有意に高く、炎症およびTh1反応が盲腸粘膜で亢進していることがわかった。免疫正常(BALB/c)マウスでは感染後2ヶ月以上の長期感染群では臨床症状は見られなかった。しかし、盲腸および大腸粘膜固有層リンパ球反応は、Th1・Th2・Th17反応が亢進傾向にあった。感染後3週の短期感染群で同様に調べたところ、各Th反応の有意な亢進と共に、調節性サイトカインIL-10の発現も有意に亢進しており、免疫正常マウスでは過剰な免疫反応が抑制されていると考えられた。また、特異抗体価は短期感染群に比べ長期感染群で有意に高く、感染後初期に菌の侵入により各種粘膜免疫反応が惹起され、その後抗体産生などによるMIT01-6451に対する防御能が確立されたと考えらえれた。現在も病理組織学変化について詳細な調査を行い、同菌の病原性とそのメカニズムの一端が明らかになりつつある。
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Research Products
(4 results)