2014 Fiscal Year Research-status Report
消化管内分泌細胞におけるIA-2ファミリー蛋白質の役割
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25450471
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五味 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90293240)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | IA-2ファミリータンパク質 / フォグリン / 消化管内分泌細胞 / 膵島 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.フォグリンおよびIA-2のポリクロ抗体を用い、マウス消化管組織における発現内分泌細胞の同定を行った。セロトニン、ソマトスタチンおよびコレキストキニン発現細胞では、ともにほぼ全ての細胞においてホルモンとの共発現を認めたが、グルカゴン、GLP-1およびGIP発現細胞では、共発現の程度が弱いかまたは認められない細胞もあった。陰性率は、グルカゴンで10-40%、GLP-1で40-60%、GIPで80-90%であった。同様の所見は膵島でも認められ、特にGLP-1で明瞭であった。これらの結果から、IA-2ファミリータンパク質の発現が細胞の成熟度あるいは増殖性と関連性があるものと示唆される。これらの現象が同一内分泌細胞においてフォグリンおよびIA-2の共発現あるいは単独発現とどのような関連性があるのかについて検討するために、フォグリンのモノクロ抗体(連携研究者の群馬大学鳥居博士が調整)を用いて解析を試みた。ブアン液固定後のパラフィン切片では十分なシグナルを検出することが出来なかったが、パラホルムアルデヒド固定後の凍結切片では検出可能で、IA-2との二重染色が可能であった。 2. フォグリンやIA-2は消化管内分泌細胞のマーカーとしても有効である可能性が高い。フォグリンのモノクロ抗体は細胞外部位を認識する抗体であるので、抗体との結合性を生細胞で適応させ、消化管内分泌細胞を分離して特異的培養細胞の樹立を目指すための第一段階として、マウスを用いたex vivo腸管内でのトリプシン消化を行なって小腸上皮細胞を回収した。回収した細胞を固定後、抗体との反応性を検討したところ、蛍光抗体標識法によって陽性の細胞が認められたが、それらの多くはリンパ性の中心乳ビ腔内に由来する形質細胞が多く混在していることが判明したため、より効率的に内分泌細胞を回収する条件の検討が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
IA-2ファミリータンパク質は1型糖尿病の自己抗原として知られる膜タンパク質であり、膵島での発現様式や機能解析がよく進んでいる。しかしながら、消化管内分泌細胞における解析は非常に限定的である。消化管上皮には極めて多種の内分泌細胞が存在しており、免疫組織化学的な解析結果から、IA-2ファミリータンパク質はグレリン発現細胞など一部を除き、多種の内分泌細胞で発現していることが判明した。分泌されるホルモンの種類によってはIA-2ファミリータンパク質の発現量が細胞によって変化することが分かり、細胞の成熟度あるいは増殖性との関連性が示唆された。これらの結果は、フォグリン遺伝子ノックアウトマウスでの解析にも応用できる所見である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. マウスの小腸上皮細胞のex vivoトリプシン消化において、リンパ系の細胞の混入を出来るだけ減らすための条件検討を行う。 2. 抗フォグリンによる消化管内分泌細胞の免疫電顕解析を行う。 3. フォグリンノックアウトマウスの消化管内分泌細胞および膵島の免疫組織化学的解析と電顕解析を行う。特に、ホルモンの細胞内輸送や分泌顆粒の形成にも関わることが示されているカルボキシペプチダーゼEは、IA2ファミリータンパク質やグラニンタンパク質であるSg3と相互作用してホルモンの選別輸送過程を制御することが知られているので、これらの分子の局在性など相互連関に注目して解析を進める。
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Research Products
(1 results)