2015 Fiscal Year Annual Research Report
消化管内分泌細胞におけるIA-2ファミリー蛋白質の役割
Project/Area Number |
25450471
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
五味 浩司 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90293240)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フォグリン / IA-2ファミリータンパク質 / 消化管内分泌細胞 / 膵島 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. フォグリンの消化管内分泌細胞マーカーとしての可能性と腫瘍化抗原を導入後に細胞株の樹立が可能かを検討する目的で、マウスの小腸上皮細胞のex vivo酵素消化し、回収細胞の同定を行った。これまで問題であった形質細胞の混入による偽陽性シグナルの排除のため、トリプシン消化条件を検討し、連携研究者である群馬大学鳥居博士が作製した抗フォグリン抗体を用いて免疫染色を行なった。消化条件により、上皮細胞塊の分散と形質細胞の混入の程度に差が認められた。フォグリン陽性シグナルは比較的強く、一部の細胞でグルカゴンとの共発現が検出できたが、セロトニンでは形質細胞との識別が困難であった。これら結果は、細胞の分散状態と抗体結合活性の問題を含んでいるが、抗体で磁気ビ-ズなどの担体を標識することで、フォグリン発現細胞の分離が可能であることを示唆する。 2. 連携研究者の鳥居博士が作製したフォグリンKOマウスの膵組織の提供を受け、形態生化学的解析を実施した。フォグリンはβ細胞においてインスリンの顆粒への選別輸送や糖刺激時の細胞増殖に関与することが示されているので、ホルモン含有、顆粒輸送、ホルモン分解および細胞増殖性などの指標となる分子群(インスリン、IA-2、Rab27a、細胞増殖マーカーPCNA、カテプシン)の発現解析を免疫組織化学法とイムノブロット法により行ったPCNAの発現解析から、インスリン分泌負荷をかけない定常時での膵β細胞の増殖性変化は顕著ではなかった。また、IA-2、Rab27a、カテプシンの発現が認められたが、特にカテプシンDの発現量の増加が認められた。これらの結果から、フォグリンの膵β細胞の増殖性への関わりはインスリン分泌あるいはインスリンシグナルに関連する現象であることが示唆される。また、カテプシンDの発現変化は、分泌顆粒の代謝においてフォグリンが何らかの関与があると考えられる。
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