2015 Fiscal Year Annual Research Report
アミロイド病モデルマウスを使ったヒトリゾチーム変異体の線維の形成機構と毒性の解析
Project/Area Number |
25450476
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉元 康志 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10100736)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リゾチーム / アミロイド線維 / 分子シャペロン / 小胞体ストレス / GRP78/BiP / トランスサイレチン / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドジェニックリゾチーム変異体は小胞体内に蓄積し、小胞体ストレスを引き起こす。小胞体ストレスはIRE1-XBP1-GRP78/BiP経路を特異的に稼働させており、GRP78/BiPの動員が亢進しており、変異体タンパク質のフォールディングを促進しているが、フォールディングがうまく行かず、変異体とGRP78/BiPは結合したままとなり、両タンパク質が不溶化して小胞体内に蓄積していくことが明らかになった。リゾチームには疎水性に富むアミロイド線維形成コア領域が存在しているが、GRP78/BiPによってこの領域がフォールディングを受けるためのα-ドメイン内にポケットと呼ばれる入り口が見つかり、GRP78/BiPはそこから挿入され、フォールディングを行うと推定された。α-ドメインは規則的に疎水性アミノ酸が配置され、その構造は厳密に構成されていることも分かった。また、アミロイドジェニックリゾチームの変異はコア領域およびその周辺に起こっており、I56T変異体の場合、イソロイシンと同様の分枝状アミノ酸はGRP78/BiPとの結合は見られず、短鎖のアミノ酸や親水性のアミノ酸はGRP78/BiPと結合したままとなり小胞体内に蓄積する。よって、これまで不明であったアミロイドジェニックリゾチームが起こす細胞傷害の原因の一つを明らかに出来た。 同じ分泌性タンパク質・トランスサイレチンもその変異体はアミロイド線維を形成するが、これもGRP78/BiPと結合したまま小胞体内に蓄積することから分泌性タンパク質の変異体によるアミロイド線維形成は小胞体内で起こる可能性が強く示唆された。 変異体リゾチームーpLIVE導入トランスジェニックマウスを作製し、肝臓での発現を観察した結果、細胞同様、生体内でもGRP78/BiPと結合した状態で小胞体内に蓄積が観察され、小胞体ストレスを誘発していることが確認された。
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