カイコ緑繭の分子基盤ならびに生理・生化学的特性の解明と利用

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25450490
• Research Institution: 国立研究開発法人農業生物資源研究所
• Principal Investigator: 平山 力 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 昆虫機能研究開発ユニット, 主任研究員 (90370676)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山本 公子 国立研究開発法人農業生物資源研究所, 昆虫ゲノム研究ユニット, ユニット長 (40370689)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: 緑繭 / P5CR / フラボノイド / 突然変異

Outline of Annual Research Achievements

笹繭系統DH20のBmP5CR1をTalenによりノックアウトし、後代を系統として確立した。このノックアウト系統の各組織におけるP5CR酵素活性を測定したところ、後部、中部、前部の各絹糸腺組織における活性が消失していた。一方、絹糸腺以外の脂肪体、筋肉等の組織のP5CR活性は保持されていたが、カイコのもうひとつのP5CR遺伝子であるBmP5CR2はこれらの組織で正常に発現していた。以上の結果、絹糸腺で主に発現しているBmP5CR1の機能消失によって、本来の反応とは異なるP5Cとflavonol類との化学反応が促進されてProlinylflavonol類が絹糸腺内（特に中部絹糸線）で生成するために緑繭が生じると結論づけられた。大造以外の緑繭品種(韓三眠、青白、長城）についても絹糸腺BmP5CR活性の消失が認められたが、BmP5CR1の変異は一様ではなかった。このことから、笹繭から緑繭への突然変異は品種育成の過程で、何度か独立して起こったものと推測された。