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2013 Fiscal Year Research-status Report

抗うつ治療におけるGs共役型セロトニン受容体の役割と意義の解明

Research Project

Project/Area Number 25460096
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

瀬木 恵里  京都大学, 薬学研究科(研究院), 特定准教授 (70378628)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords海馬 / 抗うつ薬 / 神経新生 / セロトニン受容体
Research Abstract

抗うつ薬の第一選択として用いられるSSRI(セロトニン選択的再取り込み阻害薬)はシナプス間隙のセロトニン濃度上昇を引き起こすことはよく知られているが、その後のセロトニンシグナルについては未だ不明な点が多い。本研究では、Gs共役型のセロトニン4型受容体(5-HT4受容体)に着目し、抗うつ治療時における本受容体の役割と意義を明らかにすることを目的としている。
平成25年度は5-HT4受容体欠損マウスを用いて海馬での神経新生作用における5-HT4受容体の寄与の解明を目的とした。SSRI投与による海馬神経新生は5-HT4受容体欠損マウスで有意に減弱しており、5-HT4受容体の寄与を明らかにした。5-HT4受容体は海馬の神経前駆細胞には発現が認められず、隣接する成熟神経で強い発現が観察された。従って5-HT4受容体は成熟神経において増殖・分化シグナルを介在することで、神経新生を制御しているものと示唆される。一方、セロトニンそのものの量は野生型と5-HT4受容体欠損マウスで変化はなく、セロトニン量には影響を及ぼさないものと考えられる。
本研究による5-HT4受容体の抗うつ効果に対する寄与メカニズム解明は、新たな抗うつ治療の標的探索に寄与するものと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成25年度は5-HT4受容体欠損マウスを用いて海馬での神経新生作用における5-HT4受容体の寄与の解明を目的とし下記の成果を得ており、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
1、SSRI投与による海馬細胞増殖・神経分化における5-HT4受容体の寄与:野生型と5-HT4受容体欠損マウスにフルオキセチン22mg/kgを21日間連続投与し、チミジン類似体BrdUを投与した。細胞増殖試験では投与2時間後に脳を単離し海馬歯状回における細胞増殖をBrdU免疫染色で、幼若神経数をダブルコルチン免疫染色で検討した。増殖細胞数と幼若神経細胞を比較したところ、5-HT4受容体欠損マウスでは両者で有意な減弱が認められ、本受容体がSSRI投与による海馬細胞増殖・神経分化に寄与することを明らかにした。
2、海馬での5-HT4受容体発現:本受容体の発現を検討するために、5-HT4受容体欠損マウスで当該受容体ゲノムに挿入されているbeta-galactosidase活性を基質(X-gal)染色にて検出した。その結果、海馬歯状回の成熟細胞で活性を認め、5-HT4受容体の発現が示唆された。一方、海馬歯状回での増殖細胞ではこの活性は認められず、SSRIによる増殖促進にたいする5-HT4受容体の寄与は間接的であることが示唆された。
3、SSRI投与による海馬セロトニン量増加における5-HT4受容体の影響:まず野生型と5-HT4受容体欠損マウスで海馬のセロトニン量に差があるかを検討したところ、両者に有意な差は認められなかった。またin vivo ダイアリシス法にて、SSRIを投与した時における細胞外でのセロトニン量増加の時間経過を検討したところ、これにも両者に有意な差は認められなかった。従って、上記で認められた神経新生に対する5-HT4受容体の寄与は、セロトニン産生・放出ではないことが示唆される。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度の結果より、SSRI投与における神経新生に対する5-HT4受容体の寄与が明らかになった。今後はその分子メカニズム・行動への寄与について更なる検討を行う。
1、5-HT4受容体下流シグナルの検討:遺伝子発現変化をマイクロアレイ解析・リアルタイムPCR解析で同定し、神経新生に寄与する因子群を同定する。また細胞内シグナル因子CREB, CamKIVのリン酸化を検討する。
2、5-HT4受容体の抗うつ様行動への寄与ついて、海馬の神経新生に依存的であると予想される「新規環境における食餌行動の変化」を指標に検討を行う。また抗うつ効果の指標として強制水性試験も同時に行う。
3、SSRI以外の抗うつ治療(SNRI, 三環系抗うつ薬、電気けいれん刺激)による神経新生作用について5-HT4受容体の寄与を検討する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用に50,603円あるが、予定よりも予備検討がうまく進み、予定していたマウス・試薬購入費が少なかったためである。
平成26年度見込みの1,250,603円の内、実験動物購入に550,603円、研究用試薬に400,000円、ガラスプラスチック器具に200,000円、研究成果発表の旅費に100,000円の使用予定である。

  • Research Products

    (5 results)

All 2014 2013 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Prostaglandin E2-EP3 signaling induces inflammatory swelling by mast cell activation.2014

    • Author(s)
      Morimoto K, Shirata N, Taketomi Y, Tsuchiya S, Segi-Nishida E, Inazumi T, Kabashima K, Tanaka S, Murakami M, Narumiya S, Sugimoto Y.
    • Journal Title

      J Immunol.

      Volume: 192 (3) Pages: 1130-1137

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1300290.

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Electroconvulsive seizure-induced changes in gene expression in the mouse hypothalamic paraventricular nucleus.2013

    • Author(s)
      Sakaida M, Sukeno M, Imoto Y, Tsuchiya S, Sugimoto Y, Okuno Y, Segi-Nishida E.
    • Journal Title

      J Psychopharmacol.

      Volume: 27 (11) Pages: 1058-1069

    • DOI

      10.1177/0269881113497612.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] The Role of 5-HT4 receptor in hippocampal neurogenesis increased by chronic SSRI treatment.2013

    • Author(s)
      Eri Segi-Nishida
    • Organizer
      北米神経科学学会 (Neuroscience2013)
    • Place of Presentation
      San Diego Convention Center サンディエゴ アメリカ合衆国
    • Year and Date
      20131109-20131113
  • [Presentation] 長期投与による海馬神経新生における5-HT4受容体の役割2013

    • Author(s)
      瀬木(西田)恵里
    • Organizer
      第36回日本神経科学大会
    • Place of Presentation
      京都国際会議場、 京都
    • Year and Date
      20130620-20130622
  • [Remarks] 京都大学 教育研究活動データベース

    • URL

      http://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/yP3hN

URL: 

Published: 2015-05-28  

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