2013 Fiscal Year Research-status Report
うつ症候発症機構におけるキヌレニン経路の役割の解明
Project/Area Number |
25460114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
前田 純 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (30415426)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 陽電子断層撮像 / トリプトファン / 糖質コルチコイド / アミノ酸トランスポーター / ストレス / 脳 / 膵臓 |
Research Abstract |
本年度はトリプトファン誘導体[11C]1-methyl-tryptophan(1-MT)の放射化学合成の検討および本トレーサーの全身分布、代謝および糖質コルチコイド投与の影響について検討を行った。 放射化学合成はアミノ基およびカルボン酸をそれぞれbocおよびエチル基で保護したtryptophanに対しNaOH溶液中でインドール環の1位の窒素に[11C]CH3Iを反応させメチル基を導入し、0.1HClで脱保護して目的物を得た。収量は合成収量時に2GBqを超えており、1時間バイアル中で注射液を常温で保管しても自己放射分解は見られなかった。 L体の[11C]1-MT注射液をマウスに投与しPETカメラで全身分布を確認したところ、膀胱への尿中排泄を除くと [11C] L-1-MTは膵臓に最も高く集積し、肝臓に比べ3-4倍高い値であった。一方脳への集積はSUVで0.6と他の臓器に比べ低くかった。一方D体の[11C] 1-MTではL体で見られた膵臓および脳への取込が見られないため、アミノ酸トランスポーターに依存した取込であることが確認された。 生体内における安定性を確認するため、血中および脳内の[11C] L-1-MT代謝物の有無を確認したところ血中では90%が未変化体であり、経時的な変動は見られなかった。一方脳内では未変化体のみ認められ、代謝は全く受けないことが明らかとなった。 さらにデキサメタゾンをPETスキャン3時間前に投与して[11C]L-1-MTの脳および膵臓への取込を見たところ、溶媒投与群に比べ取込は30%低下していた。この結果から両臓器へのトリプトファン取込はストレスや日内変動の影響を受けると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射薬剤合成、全身分布、代謝物分析およびコルチコイドの影響などの実験は順調に進行 している。しかし、研究所の動物飼育施設がマウス肝炎ウィルスで汚染されたため、動物の全頭処分、施設のクリーン化を行った。このため遺伝子改変マウスが導入できなかったため、トリプトファン分解酵素TDOおよびIDO欠損マウスの導入が年度内に出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初[11C]1-MTは肝臓への取込が高いと予想していたが、膵臓への取込が非常に高かった。このことから糖尿病とうつの関連性について研究を行うこととする。また、TDOおよびIDO欠損マウスを導入し、1-MTの取り込み機序について明らかにする。[11C]1-MT取り込みに対するストレス負荷やインターフェロン投与の影響についても検討を行う。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Deficiency of schnurri-2, an MHC enhancer binding protein, induces mild chronic inflammation in the brain and confers molecular, neuronal, and behavioral phenotypes related to schizophrenia.2013
Author(s)
Takao K, Kobayashi K, Hagihara H, Ohira K, Shoji H, Hattori S, Koshimizu H, Umemori J, Toyama K, Nakamura HK, Kuroiwa M, Maeda J, Atsuzawa K, Esaki K, Yamaguchi S, Furuya S, Takagi T, Walton NM, Hayashi N, Suzuki H, Higuchi M, Usuda N, Suhara T, Nishi A, Matsumoto M, Ishii S, Miyakawa T.
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Journal Title
Neuropsychopharmacology
Volume: 38
Pages: 1409-1425
DOI
Peer Reviewed
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