2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ症候発症機構におけるキヌレニン経路の役割の解明
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25460114
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
前田 純 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 主任研究員 (30415426)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 陽電子断層撮像 / トリプトファン / 認知症 / 炎症 / 脳 / 膵臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はトリプトファン誘導体[11C]1-methyl-tryptophan (1-MT)の標識合成、代謝安定性および全身分布の特徴について明らかにした。本年度は炎症、セロトニン枯渇モデルおよび遺伝子改変動物モデルを対象として[11C]1-MTの全身分布の検証を行った。 炎症誘発物質である大腸菌由来リポ多糖(LPS)を末梢投与し、[11C]1-MTの分布を確認したところ膵臓への[11C]1-MT取込が1.5倍に増加した。LPS投与は末梢臓器のインドールアミン酸化酵素(IDO)を誘導してトリプトファンの分解を促進することから、代償的に取り込みが増加すると推察された。また、トリプトファン酸化酵素(TDO)を増加させる副腎皮質ホルモンの処置では逆に膵臓および脳への取り込みが3割低下することから、IDOとTDOの活性化はトリプトファン取り込みに対し正反対の影響を与えることが明らかとなった。一方でセロトニンの生合成を阻害するパラクロロフェニルアラニン(PCPA)を投与してセロトニンを枯渇させても[11C]1-MTの取り込みに変化が見られないことから、内在性セロトニンはトリプトファン取り込み影響を与えないことが示唆された。 家族性前頭側頭認知症の変異タウタンパクを遺伝子導入した認知症モデルマウスPS19マウスにおいて、[11C]1-MTの脳への取り込みが野生型に比べ著しく低下していた。認知症とうつ病は互いに発病のリスクファクターとして知られており、神経炎症の発現によって脳内のトリプトファン濃度およびセロトニン濃度が低下すると考えられる。 今後、[11C]1-MTの取り込み機序について詳細に検証を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度マウス肝炎ウィルスで動物飼育施設が閉鎖された影響で実験が延期されていた遺伝子改変動物のPETスキャンが実施できるようになり、データを収集可能なった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究予定としてキヌレニン系と関連が深い芳香族炭化水素受容体(AHR)の活性化とトリプトファン取り込みの関係について研究を行う。
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Causes of Carryover |
次年度の試薬・消耗品購入に振り分けるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リアルタイムPCRの試薬キット、消耗品の購入に利用する。
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Research Products
(2 results)