2014 Fiscal Year Research-status Report
TMEM16F分子のイオンチャネル機能とスクランブラーゼ機能の連関機構の解明
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25460282
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
清水 貴浩 富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (40353437)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒトTMEM16F / イオンチャネル / スクランブラーゼ / ホスファチジルセリン / Ca2+ |
Outline of Annual Research Achievements |
TMEM16Fの細胞内Ca2+感受性が変化する変異体およびTMEM16F阻害剤を用いた昨年度の研究において、ヒトTMEM16Fのイオンチャネル機能とリン脂質スクランブラーゼ機能が密接に連関することを明らかにしていた。そこで本年度は、ヒトTMEM16Fの5番目と6番目の膜貫通領域間に位置する推定上のポア領域で保存されている塩基性アミノ酸残基(R591)に変異導入を行い、イオンチャネル機能およびリン脂質スクランブラーゼ機能の変化を検討した。R591A変異体を過剰発現したHEK293T細胞において、細胞内Ca2+濃度上昇により生じるイオンチャネル電流は野生型細胞と比較して有意に抑制された。また蛍光タグ付きアネキシンVを用いたFACS解析により、R591A変異体における細胞内Ca2+依存的なホスファチジルセリンの細胞外露出が野生型と比較して著しく減少することが明らかとなった。この結果からも、TMEM16Fのリン脂質スクランブラーゼ機能がイオンチャネル機能と相関することが確認できた。 そこで、TMEM16Fのイオン輸送能の変化がリン脂質スクランブラーゼ機能に影響を与えるかを確認するため、リン脂質スクランブラーゼ機能の細胞外Cl-濃度依存性をFACS解析により検討した。その結果、TMEM16Fのリン脂質スクランブラーゼ機能が細胞外Cl-濃度が低下するにつれて亢進した。以上の結果から、ヒトTMEM16Fのイオン輸送能がリン脂質スクランブラーゼ機能を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の年度計画に沿って順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究により、リン脂質スクランブラーゼ機能が細胞外Cl-濃度に依存して変化することが明らかとなっている。したがって本年度は、TMEM16Fのチャネルゲーティングを解析することで、リン脂質スクランブラーゼ機能とイオンチャネル機能が相関するメカニズムについて検討する。またリン脂質スクランブラーゼ機能の生理的に重要な役割の一つとして、アポトーシス時におけるホスファチジルセリン(PS)の細胞外露出がある。したがって、イオンチャネル/スクランブラーゼ機能が変化したTMEM16F各変異体において、アポトーシス誘導時のPS露出がどのように変化するかをFACS解析により検討する。
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Causes of Carryover |
端数のため、次年度の経費と合算して使用した方が有益であるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の経費と合わせて消耗品を購入する。
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