2014 Fiscal Year Research-status Report
S100蛋白によるHelix Repeat Proteinを介した癌細胞増殖制御
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25460291
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
山口 文徳 香川大学, 医学部, 准教授 (40271085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳田 雅明 香川大学, 医学部, 教授 (10163974)
神鳥 和代 香川大学, 医学部, 助教 (40457338)
董 有毅 香川大学, 医学部, 助教 (90457341)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | S100蛋白質 / βカテニン / BCL9 / cdc37 / Hsp90 |
Outline of Annual Research Achievements |
癌細胞におけるS100蛋白質の発現とWnt/βカテニン複合体、リン酸化とシグナル系の解析:HEK293,COS-7,HCT-116癌細胞におけるS100蛋白質の発現を検討したところ、HEK293細胞ではS100A1,COS-7とHCT-116細胞ではS100A6が多量に発現していた。これらの細胞ではS100蛋白質を過剰発現してもβカテニンのリン酸化状態には影響がなかった。S100蛋白質のβカテニンシグナル系への影響を検討するため、HEK293細胞にTCFレポータージーンを導入し、ルシフェラーゼアッセイをおこなったところ、S100A6蛋白質の過剰発現はTCFのプロモータ活性を抑制することがわかった。この結果はS100A6がBCL9のTCFに対する結合を阻害し、TCF活性を抑制するという仮説を支持するものである。 癌細胞におけるS100蛋白質の発現とHsp90/PP5/cdc37複合体、リン酸化とシグナル系の解析:cdc37、Hsp90、PP5蛋白質はHEK293,COS-7,HCT-116等の癌細胞にユビキタスに発現していたが、HEK293細胞ではS100A1,COS-7とHCT-116細胞ではS100A6が多量に発現しており、S100蛋白質の癌細胞特異的発現がHsp90/PP5/cdc37複合体に異なる影響を与えることが考えられた。COS-7細胞にS100A1,S100A2,S100A6,S100A12を過剰発現させcdc37のリン酸化状態を検討したところ、S100A1>S100A2=S100A6の順でcdc37のリン酸化状態が亢進した。このことはS100蛋白質がHsp90-PP5-cdc37複合体の形成を阻害し、PP5によるcdc37の脱リン酸化を阻害した結果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実験計画に沿って実験を行い、おおむね期待された結果を得ることができた。βカテニンの実験では、S100蛋白質が、細胞内でTCF遺伝子転写活性を阻害することが確認できた。またcdc37の実験では、S100蛋白質によりHsp90-PP5-cdc37複合体形成が阻害されることによりcdc37の脱リン酸化が抑制されることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も平成27年度の実験計画に沿って実験をすすめていく。各種癌細胞を用いて細胞内でのS100蛋白質のβカテニンシグナル系、Hsp90-PP5-cdc37シグナル系に対する影響を明らかにし、癌細胞増殖に対する影響や治療への応用について検討する。
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Research Products
(1 results)