2014 Fiscal Year Research-status Report
飼育環境のストレスに反応し、不安様行動に関与するイオンチャネルの同定
Project/Area Number |
25460323
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岡田 誠剛 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40334677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 博子 関西医科大学, 医学部, 教授 (10181736)
ROMERO GUSTAVO 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (30572820) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | K+ チャネル / TREK-1 / ストレス / 不安様行動 / パッチクランプ / c-fos |
Outline of Annual Research Achievements |
幼弱ラットへの軽微なストレスの慢性的な負荷は長期にわたりラットの行動に影響を与え、我々の検討でも、ラットを生後10日から10日間3時間/日隔離飼育すると、不安様行動の異常をきたした。本研究はストレスに反応し不安様行動に関与するイオンチャネルを同定することを目的とする。まず、隔離飼育ラットで、神経活動のマーカーであるc-fosタンパク陽性細胞数に顕著な変化が認められた視床室傍核(PVT)で発現が変化しているイオンチャネルを同定することから研究を開始した。PVTの急性スライスを調製し、K+チャネル(一過性、遅延整流性、内向き整流性、2ポアドメイン型)電流、Na+チャネル電流、mEPSC、mIPSCを測定し、対照ラットと比較したが有意な差は認められなかった。 次の方策として、不安様行動への関与が推測されるが特異的な化合物がない2ポアドメイン型K+チャネル(TREK-1)に作用する化合物を、植物由来化合物ライブラリーからスクリーニングし、同電流を低濃度で選択的に増大させる化合物を見出した。この化合物をマウスに投与し不安様行動への作用を検討すると、オープンフィールド、高架式十字迷路、明暗箱の全テストで抗不安活性を示した。次に作用機序の解明のため、c-fosタンパクの免疫染色を行った。本化合物を投与し30分後に麻酔、固定したマウスの扁桃体基底外側部、扁桃体中心核(CeA)、PVTを、抗c-fos抗体で免疫染色すると、陽性細胞数に対照マウスとの間に差は認められず、本化合物は基礎的な神経活動には影響を与えないことが示唆された。次に、投与後に軽微なストレスを負荷すると、いずれの部位でもc-fos陽性細胞数が増加し、本化合物の投与はCeAでの、陽性細胞数の増加を抑制した。したがって、本化合物はストレスによるCeAの活性化を、TREK-1チャネル電流の活性化を介して抑制し、不安様行動を抑制したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要で述べたように、ストレス負荷と対照ラットPVT間で発現量が異なるイオンチャネル電流を見出すことはできなかったが、計画からの変更が功を奏し、ストレスに反応し、不安様行動を抑制する化合物を見出すことができ、その作用機序をあらましを解明しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は我々が見出したストレスに反応し、不安様行動を抑制する化合物の作用機序の解明を通して、ストレス、不安障害の機序の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
1)研究実績の概要に述べたように、当初計画とやや異なる方向に進捗したため消耗品支出が計画より少なくなった。 2)年度途中で研究代表者の他大学の教授就任が決定したため、転出に伴う作業でエフォートをとられた。 3)就任先の研究室立ち上げに予算を要することが予想された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1)転出先で必要な測定機器の購入 2)消耗品の購入 3)研究補助員の雇用
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Modifications of TREK-1c channel2014
Author(s)
Masayoshi Okada, Hiroko Matsuda, Geraldo Corzo, Fredy Coronas, Lourival Possani
Organizer
Gordon Research Conference
Place of Presentation
Mount Holyoke College, South Hadley, MA, USA
Year and Date
2014-07-06 – 2014-07-11