2014 Fiscal Year Research-status Report
上皮組織の立体構築過程におけるHippoシグナル伝達系の役割
Project/Area Number |
25460358
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
浅岡 洋一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (10436644)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経上皮組織 / Hippoシグナル伝達系 / YAP変異メダカ / 蛍光イメージング / 細胞張力 / FRET |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物の体は複雑な三次元的形態をしており、組織や器官が正しく形作られ適切に配置されることにより初めて機能を発揮できる。こうした三次元的な形態形成の場には組織張力の制御が不可欠であるが、その詳細な分子機構については不明な点が多い。本研究において申請者らはhirame (hir) と命名したメダカ変異体の解析を行なった。hir変異体はその名の通りユニークな扁平の形態を示すが、これは器官サイズを制御するHippoシグナルの核内標的分子YAPの変異が原因であった。詳細な解析の結果、hir変異体はアクトミオシンを介した組織張力が低下したことにより、重力に耐えられなくなり組織の扁平をきたし配置も崩れることが判明した。さらにヒト培養細胞を用いた解析から、YAPの下流分子の一つとしてARHGAP18を同定した。以上の結果からYAPの三次元器官構築への関与が新たに明らかとなった [Nature (2015)]。今回の研究から、脊椎動物の器官が重力下で押しつぶされることなく三次元構造を構築する分子メカニズムの一端が明らかとなった。これは魚類からヒトに至るまで広く保存されたメカニズムである点は意義深い。現在、世界中でES細胞やiPS細胞を用いた器官作成に関する研究が盛んであるが、立体的で機能的な器官の構築は未だ困難な状況である。最近になって、試験管内でES細胞から網膜原基の眼杯組織を立体構築する画期的な自己組織化技術が報告されており、今回の研究成果をもとに今後YAPの組織張力制御を考慮した研究がさらに進めば、三次元構造を持った機能的な眼の開発に役立つことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに初期発生期のHippoシグナル伝達系が細胞張力制御に関与する可能性を見出しており、これらの研究成果を論文にまとめるに至った [Nature (2015)]。さらに詳細な解析を進めることにより、最終的にマクロスケールの上皮神経組織構築を個体レベルで理解できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞張力の可視化に向けた実験系の最適条件を決定し、hir変異体の神経上皮形成過程において細胞張力をリアルタイムに可視化し、Hippoシグナルの活性化の上皮組織形成における役割を明らかにする予定である。
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[Journal Article] Extracellular acidification activates ovarian cancer G-protein-coupled receptor 1 and GPR4 homologs of zebra fish2015
Author(s)
Yuta Motimaru, Morio Azuma, Natsuki Oshima, Yuta Ichijo, Kazuhiro Satou, Kouhei Matsuda, Yoichi Asaoka, Hiroshi Nishina, Takashi Nakakura, Chihiro Mogi, Koichi Sato, Fumikazu Okajima and Hideaki Tomura
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: 457
Pages: 493-499
DOI
Peer Reviewed
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