2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460406
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
伊藤 英樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30402738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 稔 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90183938)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | QT延長症候群 / KCNQ1 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子変異の同定されたQT延長症候群の変異遺伝子の伝達に関する研究が欧州遺伝学会誌に掲載された(Eur J Hum Genet 2015, in press)。各国各家族別の家系調査データは欧州遺伝学会のLeiden Open Variation database (LOVD3.0)に登録された(http://www.lovd.nl/3.0/home)。
日本と欧州3ケ国(フランス、ドイツ、オランダ)による679家系3782例の家系調査を実施した国際共同研究において、先天性QT延長症候群の遺伝子伝達がメンデル遺伝形式から乖離していること確認した。これらの遺伝子伝達は人種に関係なく、日本人、白人で同様に認められた。今回検討した遺伝子はKCNQ1、KCNH2、SCN5A変異遺伝子であるが、特にKCNQ1の変異遺伝子の伝達は母方からの伝達が多く、父方の2倍の頻度であった。機能異常つまり電流抑制が高度だと考えられる変異ほどその傾向は顕著であった。
本研究結果は心筋細胞の再分極に関与するチャネル遺伝子の発現が生殖系細胞にも存在することを示唆するものである。実際KCNQ1とそのサブユニットが生殖系細胞に発現し、その妊娠過程に影響することも国外の施設から報告されている。正常コントロール家系とQT延長症候群家系の3世代における遺伝子伝達の解析から、本現象は受精時における遺伝子伝達の受け渡しではなく、その後の受精卵の発育に関与する可能性を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先天性QT延長症候群の遺伝子伝達情報の集計、調査、公表は終了した。基礎的研究は方針を検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
我々は本研究の他に、先天性QT延長症候群タイプ1のKCNQ1遺伝子変異にはhot spotsがあり、国によって特徴があることを報告した(Itoh H, Circ J 2015)。Hot spots別の遺伝子伝達を調査し、哺乳類培養細胞で解析された機能変化との相関を検討する予定である。KCNQ1遺伝子の生殖系細胞への発現状態を確認することは臨床情報から得られた新たな知見を裏付ける重要な検討課題であり、他施設との共同研究を検討していく予定である。
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Research Products
(26 results)