2013 Fiscal Year Research-status Report
胃分化型腺癌における基底膜接着幹細胞の同定および生物学的意義と胃型腸型形質発現
Project/Area Number |
25460417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大上 直秀 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (60346484)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 病理学 / 幹細胞 |
Research Abstract |
癌の発生・治療抵抗性において癌幹細胞の重要性が指摘されてはいるが、組織学的な特徴は全く分かっていない。本研究では胃癌における基底膜接着幹細胞に類似した細胞の組織学的な特徴を明らかにすることを当初の目的とした。本研究は胃癌の病態解明に必要不可欠であり、研究が発展すれば治療戦略の構築、治療効果の判定・予測に貢献できる。 平成25年度では、幹細胞の局在が明らかとなっている食道扁平上皮を材料に、幹細胞マーカーの一つであるポドプラニンの解析を行った。外科的に切除された食道扁平上皮癌85例を材料にポロドプラニンの発現を免疫染色で検討したところ、食道非腫瘍部では幹細胞が存在すると予想されているpapillary basal cellに染色された。一方、腫瘍部においては主に3パターンに分類された。すなわち、腫瘍胞巣の辺縁に染色されるパターン(31%)、腫瘍胞巣全体に染色されるパターン(19%)、全く染色されないパターン(51%)である。臨床病理学的因子との関連を解析した結果、ポドプラニンが腫瘍胞巣全体に染色される症例はそれ以外の症例と比較し有意にステージが進行しており、さらに予後不良であった。放射線化学療法が施行された症例についてもポドプラニンの発現を免疫染色で検討した結果、腫瘍胞巣全体に染色されるパターン、全く染色されないパターンのみが認められ、腫瘍胞巣の辺縁に染色されるパターンは認められなかった。幹細胞は放射線化学療法に対し抵抗性を示すことから、ポドプラニンが腫瘍胞巣全体に染色されるパターンにおいてはポドプラニン陽性細胞が幹細胞と考えられ、腫瘍胞巣の辺縁に染色されるパターンではポドプラニン陽性細胞は幹細胞ではないと考えられた。今後はこのポドプラニンが腫瘍胞巣全体に染色される症例においてインテグリンα2等の各種幹細胞について検討を加えると共に、胃癌においても解析を加える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では胃癌における基底膜接着幹細胞に類似した細胞の組織学的な特徴を明らかにすることが目的である。本研究は胃癌の病態解明に必要不可欠であり、研究が発展すれば治療戦略の構築、治療効果の判定・予測に貢献できる。 胃癌および正常胃粘膜では幹細胞の局在が全く分かっていないことから、H25年では胃癌に先立ち幹細胞の局在がおおむね明らかとなっている食道扁平上皮癌を材料に解析を行った。幹細胞マーカーの一つとして報告されているポドプラニンの免疫染色を施行し、幹細胞の特徴である放射線化学療法に対し抵抗性を示す症例の特徴を明らかにした。今後はこの放射線化学療法に対し抵抗性を示す症例を対象に解析を行えば、幹細胞の特徴および局在を明らかにできる可能性が高く、大きな成果といえる。 一方、胃癌に関しては解析が進んでおらず、総じて当初の計画以上進展しているとは言えない。食道扁平上皮癌においては幹細胞を有すると考えられる症例を同定しているため、今後はこの成果をさらに発展させ、インテグリンα2を含む様々なマーカーを同定できる可能性がある。これらに関しても胃癌を材料に検討すれば、幹細胞の特徴を明らかにできるものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年における検討で、食道扁平上皮癌ではポドプラニンが腫瘍胞巣全体に染色される症例は放射線化学療法に対し抵抗性であり、予後不良の傾向を示した。このような症例において、インテグリンα2の免疫染色を施行し、基底膜に接着している細胞と接着していない細胞において発現が異なっているか否かを検討すると共に、他の幹細胞マーカーであるCD133やALDH1の免疫染色を行い分布を比較する。tubulinの免疫染色も行い、anaphaseの細胞に注目し、非対称性分裂をおこしているか否かについて検討する。幹細胞が非対称性分裂をおこしていることが知られており、非対称性分裂が確認されれば幹細胞としての性質を有しているものと考える。 H26年では、以上の結果をさらに発展させ、胃癌においても同様の解析を行う。すなわち、外科的に切除された胃癌組織を材料にポドプラニンを含む各種幹細胞マーカーの染色を行い幹細胞の同定を試みる。 一方、これらの知見をin vitroでも確認するため、胃癌細胞株MKN-45、MKN-74を材料に、様々なインテグリンの免疫染色を行い、全周性にインテグリンが染色される細胞を同定する。セルソーターでインテグリン陽性細胞を分離後、幹細胞としての特徴の有無を検討する。すなわち、スフェロイド形成の有無を検討し、マウスの皮下に移植しインテグリン陽性細胞と陰性細胞における造腫瘍能の違いを比較する。さらにインテグリン陽性細胞からインテグリン陰性細胞が発生することを継代培養で確認する。これらのことが確認されれば幹細胞としての特徴を持つと判定される。蛍光BrdU取込みによる非対称性分裂の解析を行い、インテグリン陽性の幹細胞から胃型・腸型形質発現を有する細胞が非対称性に分裂し発生するか否かを検討する。
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[Journal Article] MicroRNA-148a is downregulated in gastric cancer, targets MMP7, and indicates tumor invasiveness and poor prognosis.2014
Author(s)
Sakamoto N, Naito Y, Oue N, Sentani K, Uraoka N, Zarni Oo H, Yanagihara K, Aoyagi K, Sasaki H, Yasui W
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Journal Title
Cancer Sci
Volume: 105
Pages: 236-243
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] High miR-21 expression from FFPE tissues is associated with poor survival and response to adjuvant chemotherapy in colon cancer.2014
Author(s)
Oue N, Anami K, Schetter AJ, Moehler M, Okayama H, Khan MA, Bowman ED, Mueller A, Schad A, Shimomura M, Hinoi T, Aoyagi K, Sasaki H, Okajima M, Ohdan H, Galle PR, Yasui W, Harris CC
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Journal Title
Int J Cancer
Volume: 134
Pages: 1926-1934
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Signal peptidase complex 18, encoded by SEC11A, contributes to progression via TGF-α secretion in gastric cancer.2014
Author(s)
Oue N, Naito Y, Hayashi T, Takigahira M, Kawano-Nagatsuma A, Sentani K, Sakamoto N, Zarni Oo H, Uraoka N, Yanagihara K, Ochiai A, Sasaki H, Yasui W
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Journal Title
Oncogene
Volume: 33
Pages: 3918-3926
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Canonical Wnt signals combined with suppressed TGFβ/BMP pathways promote renewal of the native human colonic epithelium.2014
Author(s)
Reynolds A, Wharton N, Parris A, Mitchell E, Sobolewski A, Kam C, Bigwood L, El Hadi A, Münsterberg A, Lewis M, Speakman C, Stebbings W, Wharton R, Sargen K, Tighe R, Jamieson C, Hernon J, Kapur S, Oue N, Yasui W, Williams MR
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Journal Title
Gut
Volume: 63
Pages: 610-621
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] SEC11A contributes to malignant progression through promotion of EGF and TGF-alpha secretion.2013
Author(s)
Oue N, Hayashi T, Takigahara M, Nagatsuma A, Sentani K, Sakamoto N, Anami K, Uraoka N, Naito Y, Yanagihara K, Ochiai A, Sasaki H and Yasui W
Organizer
The 104th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research
Place of Presentation
Washington D.C., Maryland (USA)
Year and Date
20130406-20130410
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