2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子プロファイリングおよび細胞形態に基づく膵癌分子サブタイピング法の確立
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25460449
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三橋 智子 北海道大学, 大学病院, 准教授 (60348208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑中 豊 北海道大学, 大学病院, 特任講師 (30589924)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 浸潤性膵管癌 / 分子サブタイピング / 治療効果予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,[1]通常型膵癌(浸潤性膵管癌)においてみられる特徴的な細胞形態および分子生物学的情報に基づき,ルーチン導入可能な免疫組織学的手法(IHC)を主体とする分子サブタイピング法の確立を試み,[2]さらにこのサブタイプ間の遺伝子発現プロファイル解析から新規治療標的分子を探索することを目的としており,H25年度は,①膵癌症例を用いた組織マイクロアレイ(TMA)標本の作製,②膵癌TMA標本を用いた組織病理学的およびMUCタンパク発現との関連性,③膵癌分子サブタイピングに寄与する遺伝子シグニチャー分子群のうち,一部(MUC13)におけるIHC解析を行った. 本年度は,MUC13以外のシグニチャー分子群について検討を行った.予後良好でEGFR阻害剤elrotinibに高い感受性を示すとされているclassical(CL)タイプのマーカー分子6種,予後不良で殺細胞性抗がん剤gemcitabineに高い感受性を示すとされているquasi- mesenchymal(QM)タイプのマーカー分子3種について免疫組織化学的(IHC)解析を行った.膵癌155例におけるCLマーカーにおける陽性率は,TSPAN8 12.3%,CDH17 31.6%,S100P 57.4%,TFF1 76.1%,TFF3 51.0%,LGALS4,QMマーカーにおける陽性率は,CAV1 18.1%,CK14 1.3%,S100A2 32.9%となった.CLマーカー間およびQMマーカー間では,それぞれ有意に正相関する分子が多く確認され,逆にCL-QMマーカー間では負相関する分子が多く確認された.またクラスター解析の結果,IHC発現プロファイルにおいてもCLマーカーとQMマーカーでクラスタリングすることが明らかとなった. またCLタイプとQMタイプのin vitroでの比較解析を可能にするため,12種の膵癌細胞株のウエスタンブロット解析によるスクリーニングを行い,in vitro膵癌分子サブタイプモデルを確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究目的の達成のため,2年目にあたる平成26年度は,①膵癌分子サブタイピングに寄与する遺伝子シグニチャー分子群のうち,MUC13以外のシグニチャー分子群について検討,ならびに②CLタイプとQMタイプのin vitroでの比較解析を可能にするため,12種の膵癌細胞株のウエスタンブロット解析によるスクリーニングを行い,in vitro膵癌分子サブタイプモデルの確立を行った. ①については,9分子の解析を終えたが,最終12分子の解析予定しており,残り3分子の解析については完了に至らなかった.これにより全12分子で行う予後解析や主成分分析,遺伝子発現解析も未着手となり,予定より遅れることとなった. 一方②については,CLタイプとQMタイプ間の詳細なin vitro解析が今後可能となったことは評価できるといえる. 今年度の研究の進捗については,一部の検討で遅れが見られたことから,自己点検による評価の区分を(3)とした.
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Strategy for Future Research Activity |
3年目にあたる平成27年度においては,以下の2点について検討する. 上記①については,残り3分子の解析をまずは完了させ,その後全12分子を対象に予後解析や主成分分析を行うとともに,CLタイプおよびQMタイプにサブタイピングされた症例の腫瘍部位から,レーザー・キャプチャー・マイクロダイセクション(LCM)法によりRNAを抽出し遺伝子発現解析を行い,IHCサブタイピング法のバリデーションを実施する. 上記②については,CLタイプおよびQMタイプ細胞株を用いて,migration assayやinvasion assay等を行って両細胞の細胞生物学的特徴を明らかにするとともに,それらに関与する分子やその異常を探索する.
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Causes of Carryover |
上記①にあるように,残り3分子のIHC解析および遺伝子発現解析を次年度に行うこととしたため,次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度同様,次年度も主に物品費に充てる予定であり,費目別には以下のように計画している.【物品費】遺伝子発現解析関連試薬やその他の消耗品として免疫組織化学研究用試薬,細胞培養用試薬,ウエスタンブロッティング解析など生化学研究に使用する試薬を購入する予定である.一方,設備備品費は,研究代表者が所属する部門に主要な研究設備が整っており,新たな設備備品の購入は考えていない.【旅費】情報収集や成果発表のため国内外の学会へ参加予定である.【人件費・謝金】該当なし.【その他】本研究で得られた成果を,学会誌等へ投稿することを予定している. 研究推進にあたっては,計画に基づき実験を進めていき,研究費を有効活用したい.
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] CTNNB1 mutational analysis of solid-pseudopapillary neoplasms of the pancreas using endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration and next-generation deep sequencing.2015
Author(s)
Kubota Y, Kawakami H, Natsuizaka M, Kawakubo K, Marukawa K, Kudo T, Abe Y, Kubo K, Kuwatani M, Hatanaka Y, Mitsuhashi T, Matsuno Y, Sakamoto N.
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Journal Title
J Gastroenterol
Volume: 50
Pages: 203-210
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Intratumoral artery on contrast-enhanced computed tomography imaging: differentiating intrahepatic cholangiocarcinoma from poorly differentiated hepatocellular carcinoma.2015
Author(s)
Tsunematsu S, Chuma M, Kamiyama T, Miyamoto N, Yabusaki S, Hatanaka K, Mitsuhashi T, Kamachi H, Yokoo H, Kakisaka T, Tsuruga Y, Orimo T, Wakayama K, Ito J, Sato F, Terashita K, Nakai M, Tsukuda Y, Sho T, Suda G, Morikawa K, Natsuizaka M, Nakanishi M, Ogawa K, Taketomi A, Matsuno Y, Sakamoto N.
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Journal Title
Abdom Imaging
Volume: in press
Pages: -
Peer Reviewed
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