2014 Fiscal Year Research-status Report
ダイレクトリプログラミング法によるリンパ管内皮細胞の作製
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25460473
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (00334235)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ管は末梢組織で血管から漏出した間質液、などを血管系へと環流することにより血液の量や組成を一定に保ち、閉鎖循環系を維持している。リンパ管の形成異常により引き起こされる疾患としてリンパ浮腫があり、国内外で多くの患者がいるにも関わらず、有効な治療法は開発されていない。リンパ管を構成するリンパ管内皮細胞を用いた再生医療的な治療法には期待が集まっているため、リンパ管形成機構の解明は急務である。特定の組み合わせの転写因子を導入することにより線維芽細胞から神経や肝臓などの細胞を作製できることが報告されている。本課題においてはリンパ管内皮細胞を誘導する因子を同定し,線維芽細胞に導入することでリンパ管内皮細胞を作製することを試みている。さらに得られた細胞(induced lymphatic endothelial cell: iLEC)の遺伝子発現や機能を培養細胞レベルならびに個体レベルで検証し、リンパ浮腫の再生療法を試みる。得られた結果はリンパ管内皮細胞分化の分子基盤を解明することで学術的に大きな波及効果を持つのみならず、リンパ浮腫の新規治療法の開発に役立つことが期待され、社会に対する貢献は大きい。今年度はiLECの分化誘導に必要な因子の同定を行った。具体的には中胚葉から血管内皮細胞の分化ならびに血管内皮細胞からリンパ管内皮細胞への分化に重要な役割を果たす12種類の転写因子を発現するレトロウィルスを作成し、マウス胚性線維芽細胞(mouse embryonic fibroblast: MEF)に感染させた。得られた細胞の遺伝子発現を定量的RT-PCRなどの手法で解析したところ、興味深いことにリンパ管内皮細胞のマーカーの一部が発現していることを見出した。現在得られた細胞がリンパ管内皮細胞としての生物学的形質を有しているか検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては(1) リンパ管内皮細胞分化誘導因子の同定、(2) iLECの性状解析、(3) iLECによるリンパ管組織の再構築と機能の補助などを計画している。平成26年度においては従来の予定であるリンパ管内皮細胞分化誘導因子の同定が完了し、iLECの性状解析を進めているところであるので、本課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は予定通り、得られた細胞(iLEC)がリンパ管内皮細胞としての生物学的形質を有しているかin vitroの実験系で検討を進めながら、iLECをマウスに移植することにより、リンパ管組織を再構築しながら機能を補助するかについてin vivoモデルを用いながら検討を行う予定である。
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Research Products
(1 results)