2015 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of induced lymphatic endothelial cells by direct reprogramming
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25460473
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡部 徹郎 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00334235)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リンパ管内皮細胞 / TGF-β |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ管は末梢組織で血管から漏出した間質液、などを血管系へと環流することにより血液の量や組成を一定に保ち、閉鎖循環系を維持している。リンパ管の形成異常により引き起こされる疾患としてリンパ浮腫があり、国内外で多くの患者がいるにも関わらず、有効な治療法は開発されていない。リンパ管を構成するリンパ管内皮細胞を用いた再生医療的な治療法には期待が集まっているため、リンパ管形成機構の解明は急務である。本課題においてはリンパ管内皮細胞を誘導する因子を同定し,線維芽細胞に導入することでリンパ管内皮細胞を作製することを試みている。さらに得られた細胞(induced lymphatic endothelial cell: iLEC)の遺伝子発現や機能を培養細胞レベルで検証することを試みる。今年度はiLECの分化誘導に必要な培養条件の検討を行った。具体的にはリンパ管内皮細胞に対してtransforming growth factor-β (TGF-β)を加えたところ、細胞の増殖が阻害され、さらにリンパ管内皮細胞のマーカーの発現が低下することを見出した。さらに、内因性TGF-βシグナルを阻害するためにTGF-β受容体キナーゼ阻害作用を有する低分子化合物を加えたところ、リンパ管内皮細胞の増殖と特異マーカーの発現が亢進した。さらに、以前本課題でリンパ管内皮細胞の増殖を亢進する作用を有する骨形成因子(BMP)-9シグナルの阻害剤と併せてTGF-β阻害剤を用いたところ、さらに顕著な増殖促進作用が見出された。以上の結果から内因性のTGF-βならびにBMP-9シグナルを同時に抑制することにより、ダイレクトリプログラミングにより得られるiLECの培養の効率の上昇が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においてはiLECの培養条件を従来の予定であるリンパ管内皮細胞分化誘導因子の同定が完了し、iLECの性状解析を進めているところであるので、本課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、得られたiLECがリンパ管内皮細胞としての生物学的形質を有しているかin vitroの実験系で検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
得られた結果の解析に時間がかかり、平成28年度において実施することにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度までに得られた条件で培養したリンパ管内皮細胞の性質を分子生物学的・細胞生物学的に解析を行う。
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Research Products
(2 results)