2013 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪性肝炎と耐糖能異常におけるマクロファージの役割
Project/Area Number |
25460508
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
中島 弘幸 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (10574064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (80531392)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Kupffer細胞 / 四塩化炭素 |
Research Abstract |
マウス肝臓のマクロファージ(Kupffer細胞)は細菌の貪食を担うCD68陽性の分画と、炎症性サイトカインを分泌するCD11b陽性の分画があることを以前報告した。平成25年度にはさらに、前者は細菌に対する防御を担い、後者は腫瘍に対する防御を担うことを見出した。また、前者は放射線照射に対し強い耐性を示し、造血幹細胞のマーカーであるc-kit抗原を保有する前駆細胞が肝臓内に存在することから骨髄由来ではなく、肝臓で独自に分化してくる可能性を示唆した(Ikarashi and Nakashima, Jounal of Leukocyte Biology, 2013 p1325-36)。 四塩化炭素によって誘導される肝障害は実験肝炎のモデルとして古くから知られているが、免疫学的な機序、特にKupffer細胞が果たす役割については諸説あり明らかではなかった。四塩化炭素をマウス腹腔に投与すると、肝細胞傷害と同時にCD11b陽性Kupffer細胞が著増し、非常に強く活性化されることを見出した。さらに炎症性サイトカインを分泌するだけでなく、FasLを表出し肝細胞上のFas抗原を刺激しアポトーシスを惹起することで、傷害肝細胞の除去を促進することを見出した(Sato and Nakashima, PLOS ONE, 2014 e92515)。 Kupffer細胞に二つの分画が存在し、機能を分担していることを念頭にすることで、いままで解明が困難であった現象を明らかにすることが出来た。腫瘍を含む病的な細胞の除去を担う分画と、細菌に対する防御を担う分画が異なっている点に加えて、両者の由来が異なる点を解明したことは非常に大きな意義があり、今後の免疫学の発展に大きく寄与すると期待される。また様々な肝疾患の病態解明に貢献すると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非アルコール性脂肪性肝炎の新しい実験モデルを見出し、その発症メカニズムを免疫学的見地から明らかにしつつある。繊維芽細胞増殖因子であるFGF-5を欠損したマウスは、高脂肪高ショ糖食を摂取することにより、肝臓の炎症と繊維化をきたす。その際に、異常なマクロファージが肝内に蓄積することを見出した。表面マーカーの解析によりCD11b陽性の分画由来であることを明らかにしている。今後は炎症と繊維化の関連遺伝子を解析することにより、メカニズムを明らかにする。 歯周病菌を歯牙に感染させたマウスでは、高脂肪食を摂取させた際に炎症が悪化するが、やはりCD11b陽性の分画が増加し活性化することがそのメカニズムであることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
非アルコール性脂肪性肝炎の実験モデルの機序をCD11b陽性Kupffer細胞に着目して明らかにする。 Kupffer細胞のうちCD68陽性の分画を消去すると、高脂肪高コレステロール食を摂取させた際に、血清コレステロールが上昇することを見出している。その一方で体重は減少し耐糖能異常も改善する。すなわちこの分画はコレステロールの代謝に深く関わっている可能性がある。ABCA1等のコレステロール関連遺伝子の発現を検討し、その機能を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度国際免疫学会議に研究分担者である関修司教授が参加を予定していたが、都合により参加出来なくなり、余剰分となった。 特殊組織染色業務を外部業者に委託する予定であったが、次年度に発注することになったため、余剰分となった。 特殊組織染色および免疫染色を実施する。
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Research Products
(6 results)