2014 Fiscal Year Research-status Report
グラム陽性病原細菌のプロテインキナーゼを介するシグナル伝達の解明
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25460535
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
成谷 宏文 香川大学, 医学部, 助教 (30452668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉井 栄治 松山大学, 薬学部, 准教授 (40333512)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Clostridium perfringens / ガス壊疽菌 / シグナル伝達 / プロテインキナーゼ / プロテインホスファターゼ / タンパク質相互作用 / Yeast Two-Hybrid Screen / 非メバロン酸経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラム陽性病原細菌に普遍的に存在する真核型Protein Ser/Thr Kinase (K) - Phosphatase (P)を介するシグナル伝達系の機能をClostridium perfringens (ガス壊疽菌)をモデルとして解明する。我々は既に、K-Pが基質膜タンパク質(S)のThr-92のリン酸化調節により、同菌の生育・形態を制御していること、新規抗菌薬のTargetとして注目されている菌特異的な必須代謝経路(非メバロン酸経路)の酵素IspGとSの相互作用を見いだしている。 本年度は、以下について検討を行った。1)SのThr-92のリン酸化レベルと菌の形態との相関を解析するため、タグ付Sを野生株、P欠損株、K-P欠損株のゲノム上で付加、各増殖期における菌の形態及びSの発現量、リン酸化レベルをWestern Blotで解析した。2)これらの株のライセートをエンドリシンPsmを用いて調製し、Pull-down解析により、タグ付リン酸化S、タグ付非リン酸化Sと相互作用するタンパク質因子の同定を試みた。3)SおよびIspGの全体および各機能性領域 (N末端、C末端領域)に分割しYeast Two-Hybrid Screenを行い、Sとの相互作用領域の特定と他の相互作用因子の探索を行った。 1)その結果、全ての株において、Sの発現量はほぼ一定であること、野生株において、増殖初期で低いリン酸化レベル(0.7-5 %)を示し、K-P欠損株で見られる長い桿菌の比率が高い事、増殖が進むに従ってリン酸化レベルが上昇し、定常期後期(28-50 %)では、ほとんどの菌においてP欠損株様の短桿菌に変化することを見いだした。K-Pのシグナルとして細胞壁分解物が予想される事、増殖の進行に伴って分解物の量が増える故、Sのリン酸化レベルの上昇の原因と推定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2) 精製Hisタグ無Psmを協同研究者:玉井から提供を受けた。Ni2+-IMACレジンを用いたPull-down解析により、タグ付Sと相互作用するタンパク質因子の同定を試みた。ライセートに0.1 % TritonX100添加することで、高効率で膜タンパク質Sの回収が可能となった。しかし、レジンに非特異的に結合するタンパク質が多く、野生株、P欠損株、K-P欠損株間での比較が困難であった。また、Bufferの条件検討も行ったが改善は見られなかった。 3) Yeast Two-Hybrid Screen(ライブラリーの改善を行った)を、Sの全体およびN、C末端領域、IspGの全体で行った結果、SのC末端領域では、IspGのC末端領域の他に、UDP-N-acetylmuramoyl-tripeptide-D-alanyl-D-alanine ligase (MurF) が同定された。IspGは2量体を形成する事が知られており、Yeast Two-Hybrid Screenにより、IspGの全体が同定された。興味深い事に、MurFも同定されたことから、S-IspG-MurFが複合体を形成し、細胞壁合成に関与することが推定された。SのN末端領域では、宿主からの鉄獲得に寄与するIron-Responsive Surface Determinant (Isd)が同定され、更に、N末端領域のリン酸化領域を除く2つのTPRでYeast Two-Hybrid Screenを行うと、ガス壊疽菌に特異的に存在する機能未知の酸性タンパク質が同定された。Kにも酸性領域が存在する事から、何らかの関連性が疑われた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、1)協同研究者:玉井からのガス壊疽菌の細胞壁分解物画分を、増殖初期の低レベルリン酸化状態の菌に添加し、リン酸化の亢進またはその変化を確認する。2)バックグラウンドの低減のためDynaBeads-His-Tag Isolation & Pulldown (TALON) を用いたPull-down解析を行う。 3)同定された遺伝子をクローン化し、Yeast Two-Hybrid Screenでその相互作用を再確認し、また欠損株の作製を行い解析する。更に、変異K、SでのYeast Two-Hybrid Screenを行う。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入量/使用量が幾分少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬等の購入に充てる。
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Research Products
(10 results)