2013 Fiscal Year Research-status Report
アウトカム評価とバイオマーカー指標に基づく子どもの心の診療システムの構築
Project/Area Number |
25460643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
永光 信一郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (30258454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角間 辰之 久留米大学, バイオ統計センター, 教授 (50341540)
田中 英高 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90188326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アウトカム / 小児心身症 / EAT-26 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画として、「子どもの心の診療における患者立脚型アウトカム指標QTA54の信頼性、妥当性を検証する。」を掲げた。先行研究として、健常群700名のパイロットスタディから小児心身医学のアウトカム指標として必要な54項目をすでに抽出し因子分析を行っていたが、今回、約5800名のデータをさらに入手し、開発したアウトカム指標を用いてさらに因子分析をおこなった。5800名については、都市部、中都市、地方都市から万遍なくデーターを収取した。その結果、因子負荷量の強い30項目が抽出され、身体症状、精神症状、自己効力感、不安症状、ストレスコーピングの因子が抽出された(QTA30と命名)。内的整合性としてのクロンバックα係数は、各々の項目が、0.79、0.78、0.75、0.74、0.74と高い値を得ることができた。妥当性の検証を全対象者に対して小学生版QOL尺度 Kid-KINDL(または中学生版QOL尺度 Kiddo-KINDL)を実施し、QT30との強い相関を各項目で見出した(身体症状-0.53、精神症状0-0.63、自己効力感-0.66、不安症状-0.61、ストレスコーピング-0.50)。信頼性検証として、再検査を約2000名で実施し、高い相関(身体症状0.765、精神症状0.776、自己効力感0.782、不安症状0.758、ストレスコーピング0.639)を認めた。現在、疾患群での調査を実施し、カットオフ値の算出を試みている。また、疾患特異性尺度の開発として、摂食障害における摂食態度をスクリーニングするEAT26 (eating attitude test with 26 items)の日本語訳を作成し、標準化作業を実施している。また独自の小児摂食障害アウトカム指標も作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、平成25年度に掲げた研究目標「子どもの心の診療における患者立脚型アウトカム指標QTA54の信頼性、妥当性を検証する」について、下記3点の研究計画を掲げた。(ア)は終了、(イ)は現在解析中、(ウ)はすでにデータの収集(約7000名)を完了しており、現在解析中である。 (ア)信頼性・妥当性の検証 (イ)標準化とカットオフ値の算出 (ウ)疾患特異性尺度の開発 以上よりおおむね順調に進展していると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載していた「子どもの心の診療が有用であることを前方視的に3年間、アウトカム指標QTA54を用いて患者を追跡調査する。」について、対象疾患を小児摂食障害とすることとした。客観性、施設間統一性をもったアウトカムスコア、併存症の診断基準、発症の要因因子など、詳細に構築された疾患特異性のアウトカム指標も作成終了し、共同研究施設11箇所で患者の予後、心の診療の有用性を前方視的に観察していく予定である。目標数を50~100例と設定し、現在11例がエントリーされている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究対象者への謝金(1人あたり500円分の図書券) 対照群800人(500円*800) 患者群300人(500円*300)の約60万円を計上していたが、対照群対象者が、当初の800人から6000人強となったため事実上の謝金が困難となった。対象者には無償で参加して頂く事としたため、と予定額が次年度使用となった。 約6000名のデーター入力業務に対する経費、統計解析用のSPSSソフト、統計解析に対する謝金等に使用予定。
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