2014 Fiscal Year Research-status Report
気道上皮細胞の修復過程を標的とした新規薬物療法の開発
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25460660
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
山下 直美 武蔵野大学, 薬学研究所, 教授 (20239974)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 細胞・組織 / 臨床 / 薬理学 / 生体分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
気道上皮細胞の障害機構について解析し、修復をターゲットとする治療の標的を検索した。気道上皮細胞に対して環境アレルゲンであるダニおよびエラスターゼをもちいて刺激し、その活性化修復過程について検討を進めた。エラスターゼによる気道上皮細胞障害を検討する過程で新たなターゲットとしてオステオポンチンを明らかにした。オステオポンチンの産生を抑制すると気道上皮障害が抑制できることが示された。 ダニアレルゲン刺激では、C57Bl/6マウスより肺胞マクロファージおよび気道上皮細胞を単離し培養した。刺激は、Df (ダニ抽出物溶解液)、TLR4のリガンドであるLPS、TLR4のLPS刺激における共受容体であるMD-2を用いた。IL-6産生は、ELISA法を用いて解析した。結果として肺胞マクロファージ(M)、気道上皮細胞(Epi)ではLPSおよびDf投与によるIL-6産生を認めた。LPS刺激ではM>Epi、Df刺激ではM<Epiであった。次に、リコンビナント可溶性(r)MD-2を用いて検討を行った。細胞とrMD-2とpre-incubationするとLPSによる反応を阻害し、IL-6産生を抑制することが明らかとなった。同様に、Dfに対する反応も抑制を示したが、抑制率は小さかった。MD-2無発現気道上皮細胞での検討では、LPSの反応にMD-2は必須であるが、Df投与についてはMD-2が抑制分子として働く事が明らかとなった。Dfは気道上皮細胞では、MD-2無発現の細胞でも反応を誘導するが、マクロファージでは、誘導能を認めなかった。 以上よりDfに含まれるMD-2様作用には、細胞依存性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダニアレルゲンの反応性の解析についてMD2ノックアウトマウスを用いて解析が順調に進んでいる。さらに新たな刺激としてCOPDでの障害物質でエラスターゼを用いた検討も進展した。さらに27年度に検討を進める予定である。 SLURP-1については、倫理委員会の承認を得て、ヒトサンプルを採取し、パイロット的に検討した。しかし、ELISAシステムの設定が難航し、感度が上がらず、生体サンプルでの定量化が出来ないでいる。一時この点については休止を余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
MD2ノックアウトを用いた検討およびIRF3ノックアウトマウスを用いた検討をすすめ、ダニアレルゲンおよびエラスターゼの気道障害機構とその修復ターゲットを明らかにする。
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Causes of Carryover |
3月末まで、使用できる事で、研究費として使用しやすくなり、年度末ぎりぎりまで使用したため、一部支払が4月に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月初めに前年度分は支払に使用した。
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